関西新築分譲マンション市場について-マンション市場の規模は著しく縮小?|不動産鑑定士 難波 里美

×
←賃貸経営博士
賃貸経営博士コラム土地活用のコラム > 関西新築分譲マンション市場について-マンション市場の規模は著しく縮小?

関西新築分譲マンション市場について-マンション市場の規模は著しく縮小?

いいね・コインとは?
気になった数 324
シェア
ツイート
LINEで送る

不動産鑑定士 不動産鑑定士 難波 里美

当社は長期的ビジョンに立ち、不動産の価格形成の最適化に寄与すべく日夜研鑽を積んでおります。 一例として当社は住宅賃料については、85年から定点観測を行っており賃料の動向と需要、動向に ついて常に新しい情報提供している他、分譲マンション、分譲住宅(定期借地権を含む)の市場調査、 異業種と協業して不動産の市場評価等の新規分野にとり組んでおります。

2016年関西不動産事情2回目は関西新築分譲マンション市場について
ご紹介します。
都市部で高騰している新築分譲マンションですが、需要ニーズとかけ離れている実態をご説明したいと思います。

関西新築分譲マンション事情について

今、昭和51年(1976年)の平均単価210,000円/㎡をベースとし、マンション取得能力に関連性の高い可処分所得の伸び率で理論単価を算出し、実際のマンション単価と比較してみたのが図1です。これを見ていただきますと、昭和51年~昭和62年(1976年~1987年)まで、マンション平均単価の推移と理論単価はほぼ均衡しています。
ところが昭和62年以降、バブル期に入って急速に平均単価は上昇し、理論単価と大きく乖離しました。
地価のピークは平成2年(1990年)で、その後急落していますが、マンション価格は土地の仕込みからマンションの販売まで期間を要するため、ピークアウトは平成3年になっています。
その後、地価、建築費の下落に伴いマンション平均価格は急落し、平成13年(2001年)で開差率が縮小し、平成17年までほぼ均衡していましたが、平成18年以降は地価と建築費の上昇により販売価格が上昇しました。
ところが、勤労者可処分所得の伸び率は、逆に減少したことにより理論価格とマンション価格は乖離し始め、その後も建築費の高騰により、マンション価格は上昇するも、可処分所得伸び率は減少し、理論値との乖離は拡大傾向にあります。


<図1>

 
 平成27年(2015年)の新規供給戸数は18,930戸で、平成26年(2014年)の新規供給の18,814戸とほぼ同程度の供給でありましたが、契約率は平成26年(2014年)の76.6%に対し、70.8%と下回ってしまいました。
建築費、用地費の上昇により専有面積1㎡当りの平均単価は+10.2%、総額も平成26年の3,647万円から3,788万円と3.9%に上昇しました。専有面積は同期間で3.93㎡小振化しています。これは、都心で投資向け分譲1ルームマンションの供給が増加していることによりますが、ファミリー向けでも専有面積の小振化が進行しています。
都心部の地価上昇、建築費の上昇により、マンション販売価格は伸長していますが、一般エンドユーザーは高騰する新築分譲マンションの価格についてゆけず、中古マンション市場に流れています。需要が多くなるのに供給が少ないものですから近畿圏の中古マンションの平均価格は平成26年1,815万円から平成27年1,898万円と+4.6%の上昇、専有面積1㎡当たりの価格では、同期間で26.0万円/㎡から27.4万円/㎡で、+5.4%の上昇と、中古マンション市場も価格上昇機運にあります。
中古マンションを売却した住み替え層は、売却益の資産効果もあり、高騰している新築分譲マンションに流れている気配がありましたが、横浜市の「基礎杭問題」で冷や水をかけられた状態です。分譲マンション業者は、「基礎杭」が安心であることのエビデンスが必要であるため、平成27年秋以降の発売が遅れているところがみられます。
新築分譲マンションの契約率が好調なのは、都心のタワーマンションや投資向け1ルームマンションで、エンドユーザー向けのマンションの契約率は伸び悩んでいます。

また、市場ではエンドユーザーの意向も変化しています。
前述のとおり、中古マンション市場が活況なのは、「価格の安さ」にあります。
内閣府が平成27年10月1日~10月11日間に調査した「住生活に関する世論調査」では、「住宅を購入するとしたら新築か中古か」という問いに対し、73%(新築一戸建がよい63%、新築マンションがよい10%)が新築希望で、中古希望は9.9%と1割弱(中古の一戸建6.1%、中古のマンション3.8%)でありましたが、平成16年調査では、「中古」希望は3.4%でしたので、伸び率としては急上昇といえるでしょう。
反対に「新築」希望は平成16年調査から9.2ポイント減になりました。
「中古がよいと思う理由」のトップは「中古住宅の価格の方が手が届きやすいから」で61%を占め、次いで「中古住宅を購入しておいて、時期をみて建て替えやリフォームをする方が資金計画などに無理がないから」(29.7%)と続き、いずれも「価格」・「資金」と「お金の都合」が理由になっています。
また、「住宅を所有したいか」という問いに「所有したい」と回答した者の割合は平成16年調査と比べると、79%から74.9%に低下している反面、「所有する必要はない」と回答した者の割合は平成16年の12.1%から16.5%に上昇しています。「所有する必要はない」と思う理由のトップは「多額のローンを抱えたくないから」で20.9%でした。

現在、新築分譲マンションの専有面積1㎡当たり価格は、平成初期のバブル崩壊直後の水準まで上昇しています。バブル期には、勤労者の所得も上昇し、不動産価格は下がらないという神話のもと、近畿圏では年収倍率約7倍のマンションを購入していましたが、バブル経済崩壊とともに、デフレ期に突入し、年収は低下しました。
不動産価格も低下したため、年収の5倍前後になっていますが、現在の需要マインドは「無理をしない」ため、年収が上がらない以上、分譲価格だけが上昇したとしても、需要はついてきません。
これが契約率の低下の原因です。
マンションディベロッパーは、地価や建築費の高騰を理由にせずにもう一度、誰に住んでもらうためにマンションを作るのか考えた方がいいと思います。
マンションディベロッパーは、投資家向けマンションの売行きが良いため、都心立地での供給に躍起になっていますが、本来のエンドユーザーのニーズに目を背けている以上、投資フィーバーの波が引いたとき、マンション市場の規模は著しく縮小することが予測されるからです。   
 
                                       以上

 

いいね・コインとは?
気になった数 324
シェア
ツイート
LINEで送る

更新日:2017年10月23日 (公開日:2016年4月13日)

不動産鑑定士 難波 里美の記事

土地活用の記事

土地活用の人気記事

すべての記事

こんな記事も読まれています

こんな記事も読まれています

新着!大家さんのお悩み相談

こんな記事も読まれています

こんな記事も読まれています

新着!大家さんのお悩み相談

あなたにおすすめの収益物件

大家さん・投資家さんのためのセミナー・勉強会・相談会

特集一覧

[特集]
博士コムのメンバーと交流しませんか♪
ハワイでセミリタイア 別荘を手に入れる方法
起業から30年…成功者が語る『成功の秘訣』

コラム特集

   [PR] ベテラン大家が選ぶ、賃貸管理会社とは?

PAGE TOP