不動産鑑定士が考える、大阪ホテル市場活況の原因と今後の動向|不動産鑑定士 難波 里美

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不動産鑑定士が考える、大阪ホテル市場活況の原因と今後の動向

不動産鑑定士 難波 里美

当社は長期的ビジョンに立ち、不動産の価格形成の最適化に寄与すべく日夜研鑽を積んでおります。 一例として当社は住宅賃料については、85年から定点観測を行っており賃料の動向と需要、動向に ついて常に新しい情報提供している他、分譲マンション、分譲住宅(定期借地権を含む)の市場調査、 異業種と協業して不動産の市場評価等の新規分野にとり組んでおります。

大阪ホテル市場は活況を呈していますが
この原因と今後の市場動向についてお話したいと思います。

大阪ホテル市場活況の原因と今後の動向について

大阪ホテル市場は、世界に名高い観光地「京都市」へのアクセスが良く、市内にはショッピングゾーンが充実しており、東南アジアにアクセスが良い
(関西新空港は平成28年第3ターミナルを供用開始する)

ことから、インバウンド効果をもろに受けて客室稼働率、客室単価が急上昇していますが、平成26年以降はUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)のハリーポッター館開業効果も見逃せません。また、円安も大きな追い風となりました。

今後も、平成31年開催の「ラグビーワールドカップ」、平成32年開催の「東京オリンピック・パラリンピック」、平成33年開催の「関西ワールドマスターズゲームズ」等、観光客を誘致するビックプロジェクトが続いています。

こうした中で言われているのが、ホテル客室不足です。平成27年6月「観光立国推進閣僚会議」による「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015」

では、平成32年を重要な通過点として訪日外国人旅行者数を3,000万人に増やす目標を掲げ、外国人旅行者の多様な滞在ニーズに応えるため、古民家・町屋の再生、農林漁業体験民宿や国家戦略特区制度を活用した滞在施設の利用に向けた取り組みや、大規模イベントの開催時に宿泊需給が一時的に逼迫する場合への対応として、既存の宿泊施設以外の施設の活用の検討を記しており、旅館業法を改正して緩和しました。


無論、ホテル需要が高まっている近年、供給側も主として建設業界や不動産業界から新規にホテル事業に進出する意欲のある企業は大幅に増加しています。

更には既存ホテルについては、J-REIT、S-REITの他、投資ファンドや外国企業、国内外の富裕層の購入意欲が高く、ホテル売買価格は高騰しています。

大阪市内のホテル客室数は平成22年度の46,573室から平成24年度の46,509室とほぼ横ばい状態が続いており、大阪ホテル供給市場は、需要増に比すると大きな後れをとっています。

下<図1>は一般社団法人全日本シティホテル連盟による全国の客室ホテル稼働率です。年度平均では平成20年秋のリーマンショック以降の平成21年度は61.4%と過去最低の稼働率でありましたが、その後は上昇し始め、平成26年度は81.6%と過去最高の稼働率となっています。

 
<図1>

下<図2>は、平成14年度から平成27年度までの大阪市、京都市、奈良市、神戸市の客室稼働率の推移を表したものです。

大阪市は平成14年度~平成15年度間は、76%~78%の客室稼働率でありましたが、ファンドバブル期に入って、平成18年度、平成19年度は80%台になったものの、平成20年のリーマンショック以降、客室稼働率は悪化しました。

平成22年度に稼働率回復の兆しがみえ、平成23年度は平成22年度より改善していますが、これは東日本大震災により、東京から一時的に避難した層の影響によります(主として外資系)。

平成24年度に83.1%と平成13年度の水準に回復して以降、平成25年度以降、客室稼働率が上昇しています。他の3市も同様に客室稼働率が上昇しており特に京都市は平成25年度以降90%台の高稼働率が続いています。
(出所:「月刊HOTERES」による客室稼働率を筆者が集計)

 
<図2>

この大阪ホテルの高稼働率は本当にインバウンド効果によるものなのでしょうか?
そこで、日本政府観光局(JNTO)による出国日本人数・訪日外客数調査結果より、平成17年から平成27年について下<図3>のとおりまとめてみました。

これによると訪日外客数は、平成23年の東日本大震災の影響により大幅に減少しましたが、その後急増しており、平成27年は平成17年に比し、訪日外客数は+193.3%の増加です。

訪日外客数の急増については、国土交通省が平成15年(2003年)4月から「ビジット・ジャパン」と称するキャンペーンを海外で展開していることや、平成20年(2008年)10月1日に同省のもと観光庁が発足し、海外における訪日促進や情報発信が一層強化され、ビザ取得の緩和等による成果が現れたことが一因です。

特に訪日外客数のうちアジア系観光客が急増していますが、その背景としては上記ビザ免除若しくはビザ発給要件の緩和に加え、平成26年夏以降の急速な円安並びに航空路線の拡大

(特にLCC)の効果が挙げられます。このように客室稼働率の上昇と訪日外客数の急増はリンクしていることがはっきりと出ています。

 
<図3>

更に下<図4>は大阪府府民文化部都市魅力創造局企画・観光課による来阪外国人旅行者数の推移をみたところ、平成24年以降増加が著しく、平成26年は過去最高を記録しました。

平成26年に日本を訪れた外国人数は13,413,467人で、そのうち大阪を訪れたのは28.0%の、3,757,592人です。
なお、平成17年と平成26年の比較では2.3倍の増加となっています。
<図4>


 
下<図5>は平成26年の来阪外国人旅行者数を出身地域別にみたものですが、これによると中国(27%)、韓国(19%)、台湾(18%)の順であり、東アジアからの旅行者が多いことがわかります。
<図5> 平成26年合計3,757,592人

(出所:大阪府府民文化部都市魅力創造局企画・観光課の資料を基に作成)
筆者調査による大阪市内のビジネスホテルの平均客室販売単価はここ1年で約17%上昇し、稼働率も約4ポイント上昇の91%台になっており、大阪ホテル市場はかつてない程の活況を呈しています。

中国景気の減速や中国政府の関税強化、更には円高傾向等を考えると今後、平均客室単価が大きく上昇することは考えにくいですが、平成33年の「関西ワールドマスターズゲームズ」までは安定したインバウンド客をあてにできそうです。

その後、継続してインバウンド客を増加させるにはやはり、買物だけでない大阪の都市の魅力を磨くことが必要となると思います。
 
 
                                       以 上
 

更新日:2016年6月1日 (公開日:2017年6月25日)

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