更新料はもらえないというウソ!〜土地活用のまことしやかなウソの話⑩〜|不動産コンサルタント 松葉 民樹

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更新料はもらえないというウソ!〜土地活用のまことしやかなウソの話⑩〜

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その他識者 不動産コンサルタント 松葉 民樹

間違った知識や様々な法改正や税制改正、新設制度など、地主さんや賃貸不動産オーナーさん、不動産投資家さんにコンサルティングしてまいりました。私のコラムと同様、皆様の少しでもお役に立てれば幸いです。

首都圏地区や京都では賃貸借契約の契約更新の際、借主から貸主に対し、更新料が支払われることが慣行となっていますが大阪や兵庫では行われていません。
平成19年の国土交通省による「民間賃貸住宅実態調査」によると、更新料を徴収している割合は東京都65.0%、神奈川県90.1%、千葉県82.9%、埼玉県61.6%という数値が発表されています。
にもかかわらず、首都圏でも契約更新の際に借主から更新料を拒否されたり「払う必要があるのですか?」と言われオロオロする家主さん、オーナーさんがいらっしゃいます。
はたして真実はどうなのでしょうか?

賃貸借契約の更新料はもらえないというウソ!

   まず、賃貸借契約書に明記されているかどうかです。

   明記されていればもらえます。明記がなければ請求することはできません。

   当たり前のことなのですが、「原状回復と敷金精算」の時にも書きましたが、我が国の人達の多くは未だに昭和20年以前の戦時国家社会主義体制の価値観から脱却していなくて、民間の契約行為に国家や行政が関与すると思っているようなのです。

   現代社会は我が国は「自由主義国家」です。当然に「契約自由の原則」は保証されています。
その契約内容が公序良俗に反したり、一方的に消費者の不利にならない限り、強行規定で無効にはなりません。

   そもそも、契約更新料というのは我が国の一部地域において慣行されてきた慣習です。
賃貸借契約書に更新料の規定が明記してあるにもかかわらず、借主が応じずに裁判で争った場合、裁判所は「慣習たる事実があるかどうか?」で判断をします。

   かつて借地の更新料の裁判では昭和49年1月28日の東京地裁の判決で「更新料支払の事実たる慣習あり」との判決でしたが、その後の昭和51年10月1日の最高裁判決で「土地の賃貸借契約の事件において、賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商慣習ないし事実たる慣習が存在するとはいえず、借地契約に更新料を支払う旨の特約がない限り当然には請求できない」と判決しました。

   この土地賃貸借の更新料でも、①更新料を支払う事実たる慣習があるかどうか?②更新料を支払う旨の特約があるかどうか?が判決のポイントになっています。

   建物の賃貸借契約においては平成19年の国土交通省にデータで首都圏においては事実たる慣習はは明らかですから、後は賃貸借契約書に更新料を支払う旨の特約があるかどうかだけです。

   近年、更新料支払の条項が、消費者契約法第10条に違反し、無効ではないかが問題になり各地で裁判が行われ、下級審で有効と無効に分かれていました。
消費者契約法第10条とは「民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。」というものです。

   その後の高裁判決でも大阪高裁で3件判決され、平成21年8月27日は無効、平成21年10月29日は有効、平成22年2月24日は無効と判断が分かれていました。

   そこで、平成23年7月15日に最高裁でこれら3件に関し、一括して判決が言い渡され「賃貸住宅の契約を更新するに当たり、賃料と比して高すぎるという事情がない限りは更新料を支払うことは有効である」と判決しました。

   かつて東京地裁でも昭和61年10月15日に、契約期間5年、賃料52万円/月、(保証金2530万円)で更新料330万円(家賃の6.35月分)の支払契約の判決では「上記特約は賃料の3ヶ月分に相当する156万円の限度で有効、それを超える部分は借家人に不利なものとして無効」という判決が出ていましたが、平成23年の最高裁判決でも「5年更新で賃料2ヶ月分、2年更新の賃貸借契約で賃料の1ヶ月分程度であれば消費者の利益を一方的に害するものにはあたらないと解するのが相当である。」と判断されています。

   法的には賃貸借契約書に更新料の支払いを明記してあれば有効で取りっぱぐれることはありませんが、物件が悪い、魅力がないと賃借人から「更新料を支払わなければならないのなら退去します。」とか「家賃の引下げを条件に更新します」などと言われると家主さん、オーナーさんも「退去されると次がなかなか埋まらないかもしれない」とか「次の入居募集では家賃を下げなければならない」とか考えて商談的にもらえないということがあるのではないでしょうか?
   これはひとえに「物件に魅力がない」結果なのです。誰もが住みたいと思えるような魅力ある物件では起り得ません。他と比べて【売り】は何なのか?【差別化】してるのか?どこにでもある規格物件でしかも経年して設備も陳腐化したままの物件では法的にではなく、商談的に更新料がもらえなくなるのです。

   入居者サービスでも工夫できます。スタンプカード形式で家賃1回払う毎にスタンプを1つ、スタンプ25個で「ペアでグアム旅行プレゼント」ってやれば、
2年契約ならスタンプは24個しか貯まりませんから更新すればグアム旅行ゲットです。スタンプ50個で「ペアでハワイ旅行プレゼント」ってやれば、
4年住んでもスタンプ48個ですから更新で賃借人はハワイ旅行ゲットです。
物件の魅力にさほど自信がなくても、長期入居を実現(更新を繰り返し)でき、経営を安定化させる努力をやっているのか?ということの方が重要なのです。

   魅力ある賃貸物件にすることは必要必須条件ですが、それ以外に入居者と良好なコミュニケーションをちゃんととっているかということも重要なのです。
誕生日にバースデーカードを送るとか、子供の入学祝いに500円でも図書券や文具券を贈るとか、農業兼業大家さんの場合、米や野菜や果物をあげるとか‥


   良い場合で、良い物件で、良いサービスをやっていれば良いだけの話なのです。
  



 

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更新日:2017年8月23日 (公開日:2016年12月19日)

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