不動産鑑定士が語る!大家さんが気になる、関西住宅賃料の将来動向の予測|不動産鑑定士 難波 里美

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不動産鑑定士が語る!大家さんが気になる、関西住宅賃料の将来動向の予測

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不動産鑑定士 不動産鑑定士 難波 里美

当社は長期的ビジョンに立ち、不動産の価格形成の最適化に寄与すべく日夜研鑽を積んでおります。 一例として当社は住宅賃料については、85年から定点観測を行っており賃料の動向と需要、動向に ついて常に新しい情報提供している他、分譲マンション、分譲住宅(定期借地権を含む)の市場調査、 異業種と協業して不動産の市場評価等の新規分野にとり組んでおります。

弊社は過去30年にわたり住宅賃料の調査をしていますが、
2016年7月時点で収集した新築賃貸事例から賃貸市場の動向を
分析した結果をご紹介いたします。

関西住宅賃料の将来動向の予測

[ 調査内容 ]
① 調査目的  下記地域について過去30年間のデータを抽出し、全体地域の住宅賃料の変動を分析する。

② 調査地域  大阪市 … 此花区、福島区、阿倍野区、東住吉区、住吉区、
北区、都島区、住之江区
南大阪 … 堺市、松原市、泉佐野市、貝塚市、岸和田市
北大阪 … 豊中市、池田市、吹田市、箕面市
阪 神 … 伊丹市、川西市、尼崎市、西宮市

③ 調査方法
1)1985年以降の各年次7月第1週日付発行の「週刊住宅情報」(97年は「週刊フォレント」)を採用した。
これは、1年の中間時点であることに留意したものである。
2006年からは、インターネットの「フォレント」による。
2)新築、築後1年のマンション並びに戸建住宅の賃貸物件のみを収集した。
3)間取り別に分類した。
 
 ポイント1 
  
◎ 供給の主流は「1K-1LDK」である。2010年から「2K-2LDK」が供給増に転じたものの、2014年で供給増がとまり、2015年以降供給戸数は減少している。2016年は「1K-1LDK」が約+9%増加したのに対し、他のタイプの供給は減少した。
・供給戸数 … 2016年の新規供給件数は2015年に比し、+7%増加した。
・タイプ別 … 1998年以降、供給の主流はファミリータイプから「1K-1LDK」の単身者向けに変化したが、2010年から「1K-1LDK」と「2K-2LDK」の2つのタイプが主流となった。特に2011年の「2K-2LDK」は、「1K-1LDK」が供給減になっているのに対し増加していた。但し、「2K-2LDK」は2014年をピークに供給戸数は減少傾向にある。「1K-1LDK」は継続的に供給の主流を占めており、2016年では「1K-1LDK」タイプのみ、供給量が対前年比+9%増加した。
 
 ポイント2 
  
2016年の全エリアでは、「1K-1LDK」の供給が全体の約60%を占めた。「1ルーム」と「1K-LDK」のシングルタイプが全体の67%、ファミリータイプ(「2K-2DK」「3K-3LDK」)は約24%である。
戸建賃貸は、2013年から30戸台であったが、2016年は68戸と倍増した。
戸建賃貸をファミリータイプに含めるとファミリータイプは全体の33%を占める。(<表1><図1>参照)
各エリアの型式別では、大阪市では「1K-1LDK」が増加し、「1ルーム」「2K-2LDK」は減少、「3K-3LDK」は横ばいである。北大阪エリアでも「1K-1LDK」が増加し、他タイプの供給は減少した。阪神エリアではいずれの型式も供給が減少。南大阪エリアでは「1ルーム」「1K-1LDK」「2K-2LDK」の供給が増加し、「3K-3LDK」のみ減少した。(<図2>参照)
 

<表1> 大阪市、北大阪、南大阪、阪神間の各年7月第1週発行
「住宅情報」記載の新築マンションの件数



<図1>
(戸)


<図2>
(戸)


 
 ポイント3 
  
◎ 「全体」の賃料の動き
全体の傾向としては、支払賃料単価は「1ルーム」のみ対前年比△5.7%下落したが、他型式は上昇した。「1K-1LDK」「2K-2LDK」は対前年比+2.8%上昇したが、「3K-3LDK」が+0.7%の微増であった。(<表2><図3>参照)
 
 ポイント4 
  
◎ 「大阪市」エリアの賃料の動き
「大阪市」は、「1ルーム」の賃料単価が△1.7%下落、「1K-1LDK」も△0.5%の微減となったが、他のタイプは賃料単価は上昇した。
「1ルーム」の平均占有面積は27㎡台、総額賃料は64,700円で賃料単価が下落し、総額賃料は△1.7%下落した。
「1K-1LDK」は、平均占有面積32㎡台と更に小振りになり、総額賃料も72,300円と対前年比△7.4%下落した。
「2K-2LDK」は、平均占有面積は56㎡台で縮小し、総額賃料は108,200円で、対前年比△1.5%の微減。
「3K-3LDK」は昨年の74㎡台から70㎡台に減少し、総額賃料は145,700円と、対前年比△4%の下落である。
 
 ポイント5 
  
◎「北大阪」エリアの賃料の動き
「1ルーム」の賃料単価が、対前年比+5.3%上昇。「1K-1LDK」も+8.5%の上昇、「2K-2LDK」は△1.1%の微減、「3K-3LDK」は+1.3%の微増である。
2016年の「1ルーム」の平均占有面積は27㎡台で面積は縮小、総額賃料65,000円(対前年比△2.7%)、「1K-1LDK」の平均占有面積35㎡台でほぼ変化はなく、総額賃料84,500円(+8.2%)、「2K-2LDK」の平均占有面積は62㎡台とやや拡大し、総額賃料108,900円(+4.5%)。「3K-3LDK」の平均占有面積79㎡台で微増、総額賃料139,400円で、対前年比+2.3%となった。
北大阪エリアは占有面積の小振化にストップがかかり、賃料単価も上昇している型式が多いため、総額賃料も上昇している。
 
 ポイント6 
  
◎「南大阪」エリアの賃料の動き
堺市での供給量が最も多い。
「南大阪」全体では、「1ルーム」を除いた型式の賃料単価は上昇した。賃料単価は「1ルーム」が△8.7%、「1K-1LDK」が+3.6%、「2K-2LDK」は+12.0%、「3K-3LDK」は+1.5%であった。平均占有面積は「1ルーム」と「3K-3LDK」が拡大したが、他型式は縮小した。
「1ルーム」の平均占有面積は約27㎡台で約4㎡拡大し、総額賃料は58,100円(対前年比+5.6%)。
「1K-1LDK」は平均占有面積36㎡台で約1㎡縮小し、総額賃料は66,700円(△1.2%)。
「2K-2LDK」の占有面積は58㎡台でやや縮小したが、賃料単価が上昇したので、総額賃料は89,100円(+11.4%)。
「3K-3LDK」の占有面積は83㎡台で拡大し、総額賃料は124,900円(+13.0%)と大幅に上昇した。但し、件数は7件である。
 
 ポイント7 
  
◎「阪神」エリアの賃料の動き
阪神間の賃料単価は「1K-1LDK」タイプのみ対前年比+3.3%上昇したが、他タイプは全て下落した。
「1ルーム」が△9.1%、「1K-1LDK」は+3.3%、「2K-2LDK」は△1.7%、「3K-3LDK」は△5.1%となった。平均占有面積は「1ルーム」が約2㎡拡大したが、「1K-1LDK」「3K-3LDK」は縮小、「2K-2LDK」は1.57㎡拡大と微増であった。
「1ルーム」の平均占有面積は28㎡台で総額賃料63,600円と、対前年比△1.0%の下落となった。「1K-1LDK」の平均占有面積33㎡台で総額賃料72,900円と、同△2.0%下落した。「2K-2LDK」は平均占有面積60㎡台で、総額賃料は100,200円で対前年比+1.0%の上昇、「3K-3LDK」は平均占有面積73㎡台で、総額賃料127,800円で対前年比△10.9%下落した。
 
 


<図3>

 
 ポイント8 
  
◎ 戸建賃貸の供給増
「大阪市」エリアで6件、「北大阪」エリア6件、「南大阪」エリア11件、「阪神」エリア15件と全てのエリアで供給がみられた。
「阪神」エリアでは、「尼崎市」「西宮市」の供給が多い。「阪神」エリアの平均占有面積は87㎡台で、総額賃料は152,000円である。
「北大阪」エリアでは、「豊中市」「吹田市」の供給が多い。「北大阪」エリアの平均占有面積は80㎡台で、総額賃料は160,200円である。
「南大阪」エリアでは、「堺市」の供給が多い。平均占有面積77㎡台、総額賃料116,600円である。
「大阪市」エリアは平均占有面積77㎡台で、総額賃料139,700円である。
供給エリアの傾向をみると、子育て層に人気のある市が多く、継続的に供給がみられるが、「豊中市」では従来から役員社宅の高額物件の賃貸需要がある。
今回調査でも、「阪神」エリアと「南大阪」エリアでの供給が多いが、理由としては戸建て需要の根強い地域であることと、賃貸マンション建設に比べると、建築コストが低いことから、地主のリクスヘッジにマッチした供給型式であるためと考えられる。
 
 ポイント9 
  
◎ 一時金月数は下落
2015年と2016年の一時金月数を比較すると、長年の下落に歯止めがかかり、「1ルーム」は0.3ヶ月増、「2K-2LDK」「3K-3LDK」は0.1ヶ月増、「1K-1LDK」は変化がない。
敷引月数は「1ルーム」が0.1ヶ月増、「3K-3LDK」が0.1ヶ月減となっている。
なお、1988年との比較では、特にファミリータイプの「2K-2LDK」「3K-3LDK」の一時金月数の下落が著しい。<表3参照>
 
<表3>

 
 
 2017年の市場予測 
  
近畿圏の賃貸需要は首都圏、中京圏に比すると昨年に引き続き、芳しくない。
国土交通省「平成27年度 住宅市場動向調査」(平成28年3月)によると、世帯主の平均年齢は、首都圏36.1歳、中京圏39.0歳、近畿圏37.9歳と中京圏が2歳多い他は首都圏と近畿圏は同年齢が近い。世帯年収は首都圏461万円、中京圏469万円、近畿圏424万円と三大都市圏内で最も低い。

「支払家賃 + 共益費」でみると、首都圏が85,523円、中京圏68,737円、近畿圏69,945円で中京圏より支払コストは高い。

更に勤務先からの住宅手当があるのは首都圏24.2%、中京圏33.7%、近畿圏24.8%と中京圏は手厚い。世帯主の職業では三大都市圏とも「会社員・団体職員」の占める割合が最も高い。(首都圏47.0%、中京圏53.9%、近畿圏44.4%)
近畿圏の特徴としては、他圏より「自営業」「派遣社員・短期社員」「年金受給者」「無職」の割合が高い。

家賃の負担感については、負担感がある(「非常に負担感がある」「少し負担感がある」の合計)割合は、首都圏64.9%、中京圏55.1%、近畿圏は70.6%で近畿圏が最も高い。前述、支払コストが年収に占める割合、即ち、家賃負担率は首都圏22.3%、中京圏17.6%、近畿圏19.8%で、首都圏に次いで高い。

今回の弊社の賃貸市場調査結果では、建築費の高騰を吸収すべく、占有面積を小振化し、総額賃料を抑えている傾向は継続している。

国土交通省の「住宅市場調査結果」にみるように、近畿圏の需要の所得環境は厳しいことから、2017年も建築費の高騰を賃料に転嫁することは困難で、更に占有面積の小振化が進捗していくものと予測した。

その結果、需要の方でも「1ルーム」「1DK」「1LDK」をカップルが多く選択している。
というのは、賃貸住宅の「利便性」を重視するものの、所得に見合う家賃の支払限度から「住宅の広さ」を犠牲にせざる得ないのである。
こういったニーズを満足させるためにも立地の良い「空家」を積極的に活用することが今後、大きなビジネスにつながると考える。
 
                                      以 上

 

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更新日:2017年10月17日 (公開日:2017年1月6日)

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