Aさんの父親の場合|竹村鮎子

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成年後見制度と賃貸経営~高齢化社会における問題~①親名義の賃貸物件と不動産管理

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弁護士 竹村鮎子

不動産関連業務を中心に、相続、離婚など幅広い案件を取り扱っております。賃貸経営にまつわるトラブルやその対処法について、分かりやすくご説明するように心がけています。

Aさんの父親の場合

 それでは、Aさんの父親の場合はどうなるでしょうか。

 Aさんの父親は思い認知症を患っており、日常会話もままならないとのことですので、賃貸借契約などの内容を理解する能力を欠いていると言えそうです。したがって、Aさんの父親は不動産管理をする意思能力及び行為能力を欠いていると言えるでしょう。

 しかし、現在はAさんが父親の代わりに交渉などを行っているため、表向きは影響がないとも考えられます。しかし、果たして本当にAさんの行為に問題はないでしょうか。

 仮にAさんが父親の同意を得ずに、父親の名前で契約書などを作成していた場合、その契約は、本人(父親)でない人が本人(父親)に無断で行った法律行為であり、無権代理(むけんだいり)となり、無効です。つまり、Aさんが父親に無断で、父親の名前で契約書を作成するなどしていた場合、表面上は問題がないとしても、法律上、無効な行為であることに違いはありません。また、Aさんの弟のBさんから、「勝手に父親の財産を私的に流用している」などと文句を言われたりするかもしれません。

 また、日々の賃貸経営は父親の名前でAさんが行うことで回せていたとしても、例えば、建物を売却する場合や、賃借人から訴訟を提起された場合などには、Aさんが父親に代わって建物の売買契約や訴訟対応をすることは、事実上難しいでしょう。 

 例えば、Aさんが父親名義の不動産を売却したいと考える場合、買主からは父親の意思確認を求められるでしょう。また、銀行から多額の金銭を引き出す場合にも、厳密な本人確認が求められます。しかし、実際にはAさんの父親が重い認知症である場合、不動産の売却や銀行預金について、Aさんの父親が判断することはできないでしょう。

 それではAさんが父親に代わって不動産を売ることができるかが問題となりますが、Aさんの父親が、「不動産の売買はAさんに任せる」ということが判断できない以上、Aさんが父親に代わって不動産を売却することもできません。

 つまり、Aさんの父親名義の不動産は、このままでは売ることができない不動産ということになるのです。

 なお、本稿はあくまで一般的と思われる例として記載しているものであり、不動産を売却しなければ、認知症の父親にかわってAさんが日々の賃貸経営を行っても問題がないとしているわけではありません。

 それではAさんはどうしたら良いのでしょうか。
 次回、成年後見制度について詳しくご説明いたします。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

公開日:2018年1月26日

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