不動産賃貸経営から考える衣食住-「住」は、「衣食足りて」の語の通り、たどり着いた先に実現・実感する「段階的な要素」~結果としての節税あれこれ~|Hisashi

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不動産賃貸経営から考える衣食住-「住」は、「衣食足りて」の語の通り、たどり着いた先に実現・実感する「段階的な要素」~結果としての節税あれこれ~

不動産賃貸経営から考える衣食住-「住」は、「衣食足りて」の語の通り、たどり着いた先に実現・実感する「段階的な要素」~結果としての節税あれこれ~

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大家 Hisashi

職域年金受給1年前となり、やっと「少しはラクになるかな」と、一息吐いています。サラリーマン大家→個人事業主→会社設立と、書けば順調に見えるものの、「いつもカツカツ」で生きてきた気がします。これまでの経験を、節税面から振り返ってみようと思います。

 筆者にとって、FXや仮想通貨は雑所得で最高50%の税率だが、株は特措法で20.315%で済む、という話は、「それって何?」「誰の話?」みたいな居心地の悪さを感じます。
 必要悪的な20.315%で済むなら、という選択は、前回(第<39>回)で話題にした、同じ額を「割増し」と捉えるか「割引き」と捉えるかに通じるからです。

<40> 所詮初めは無一文

 衣食足りて住を知ると言いますが、借家にしろ持ち家にしろ、居住コスト(家賃、ローン)は生活費の大きな比率を占め、それを賄うに足る安定した収入と、毎月・毎年の収支バランスを遣り繰りしながら私たちは日々を暮らしています。
 ところが、一旦落ち着いてしまうと、ちっとやそっとで変えられないのが「住」というものでもあります。なぜなら、住まいというのはその人のライフスタイルと密接に関わっているからです。

・多少通勤に時間がかかるが、給料と仕事のやりがいを考えたら納得。
・共稼ぎなのでとにかく便利さ優先。コスト高は2馬力で何とかクリア。
・子供の生育環境を考えれば、少々郊外でも緑の多い土地が良い。

 この3つの簡単な例を独身・夫婦・子持ち家族と考えてみると、やっかいなのは、これはひとつひとつ加わってく要素ではあっても、御破算で後戻りが利かないことです。まあ、離婚で振り出しに戻る、というリセット・ボタンを押すような場合もありますが、通常は、

・スキルやキャリア・アップを重ねながら仕事の質ややりがいを高める。
・そこに、連れ合いとの出会いがあり、私的側面の充実を図る。
・子どもが生まれ、家庭も円満、家族ともども人生を充実させる。

方向に考えるのが、一般的だからです。
 すると、ひとつひとつ加わって積み重なった結果であ(終わりのない進行中とも言え)る「住」は、「衣食足りて」の語の通り、たどり着いた先に実現・実感する「段階的な要素」という性質を持ちます。

 しかるに、トラブルが発生すると、

・共同名義の物件だけど、持ち分の割合は?
・子どものこともあるから、卒業までは母子で住み、旦那が家を出る。
・老親の介護、相続、子どもが引きこもりになった、等々……。

といったさまざまな要素に、悉く「住まい」が関係してきます。

 離婚に際しては、「今の住まいをどっちが」という問題がきわめて大きい課題になります。土地の権利や住まいの費用の負担比率は元より、上述のような子どもの教育環境や老親の介護といった要素が重くのしかかってきます。
 婚姻の維持や解消は個人の問題と捉えられがちですが、税金とも無関係ではありません。例えば、夫婦仲が悪いわけではないものの、旦那が詐欺まがいのトラブルに巻き込まれ、俗に言う「ヤバい」ことになりそうな際、住まいの名義を妻に移し、偽装離婚して妻側に財産を確保し、実生活はこれまで通り仲良く夫婦で暮らす、なんて考え方もあります。
 まあ、先々旦那が奥さんに頭が上がらなくなるかもしれませんが、財産・資産が残るなら選択肢としてアリと考える層の人々といえるでしょう。規模の大小は別として、資産・余裕のある人たちの考えと言えます。

 話は変わりますが、筆者は、高校時代から約20年を祖母と一緒に暮らしました。
 明治生まれの祖母が、年金制度などがまだ整っていない旦那の死後も、質素ながら日々の生活にあくせく追われることもなく暮らしていたのは、家作を持っていたからでした。
 遺族年金など微々たるものでしたでしょうし、国民年金は今(2019)ですら一人暮らしの生活費には程遠いわけですから、社会保障に頼っていたわけではなかったのは明らかです。
 逆に言えば、祖母は制度として年金が整備されることなど知らないときから、「江戸時代からの定番」に従って、少し蓄えが貯まると、今ほど高騰していなかった土地を買い求め、家作を建て、まだまだ安定していたわけではないサラリーマンの旦那の収入を補い、子どもの教育費の足しにしたのでしょう。
 今のように『金持ち父さん貧乏父さん』を読んで不動産投資に目覚めたわけではないのです。事実、筆者が祖母との同居時代に聞いたのは、賃借人の数と広さの関係とか、取得時の土地の買値と関係なく固定資産税はその年その年の評価で課税されるから間尺に合わないとか、新聞の募集欄2行にどう文字数を入れ込むか、といった話題でした。
 今のように、利回りの話とか、融資利用の有利不利などの知識は皆無。
 お蔭で筆者は、初めてワンルーム・マンションを取得したときは、新築物件に手を出したりして、後からえらい苦労(勉強)をさせられました。

 以前(第<32>回)、古代ギリシャの市民生活は奴隷制の上に成立していた、という話を書きましたが、下々の者たちにとっては、

・無税か課税かで苦労し、
・課税となったら累進制に苦しめられ、
・一方で容赦なく消費税の逆進性で追い打ちをかけられ、
・やっと少しばかり資産ができると、初めて与えられる特措法20.315%、

というイメージ。商人が名字帯刀を許されるのに莫大な先行投資をしなければならない(第<26>回)ように、奴隷→市民、商人→名字帯刀の隔たりは、まるで、

・地球を取り巻くヴァン・アレン帯を抜けるかのような、
・関所を迂回するために路なき山道を分け入るかのような

果てしなさと言えるのではないでしょうか。
 筆者は、国民年金のみで暮らす借家住まい老齢者の目線や価値観を、どこか頭の隅に残しながらこうしたコラムを書くようにしていますが、そうすると、モノの本にある「投資だから損をすることもある、だから余裕資金で」という忠告ですら、

・余裕って何だ?
・衣食足りて住って言うけど、「居」食足りて、じゃないの?
・どうせ払うなら20.315%って、何その不遜な態度?
・iDeCo や NISA で節税?  ハン、余裕があるのね、こちとら無一文よ。

みたいな反感を持つことがあります。いや、そうした反感が湧く価値観を忘れずに、世の中を見る眼を持ち続けていたいと思っています。
 (どこかから、「大きな飛躍は望めないわね」という声が聞こえてきそうですが、いいんです、もう還暦過ぎの老い先長くないただのジジイですから。笑)

 筆者が以前から何回も触れていますが、不動産賃貸経営は、確かに投資の一分野ですが、あくまで事業所得であり、単に利回りとか収益が向上・悪化といった側面とは別に、持ち主として、

・賃借人さんのQOL向上に一定の責任を持つ
・物件(「事業」資産)の維持管理を疎かにしない
・「住」環境の確保そのものの意義を忘れずに

といった基本が先ずあり、さすれば、

>あまり何でもかんでもの「てんこ盛り現状回復」ではなく、
>次の入居者さんが女性の方でも、まあそこそこに納得して頂ける程度
>の必要十分な内装を施し、(第<37>回)

といった方針(結果として利回り、工務店相見積もり、など)も決まってくる、という根本姿勢は押さえておきたいものです。

 最後に、このひと言が余計なのかも知れませんが、こうした下々(年収1000万以下の96%の人々)に遍く2%の増税を課し、云わば「先取り税収」を確保するやり方は、所得税の源泉徴収制度と酷似しています。不公平を通り越して、卑劣ささえ感じますが、これでさらに大企業の法人税優遇などされた日には、世も末。しかし庶民は、「衣食足りて」の「衣食」の部分で食うや食わずなので、「足り」た段階の「住」に考えも及ばせられず、資産としての「住(=不動産)」は、金にモノを言わせた大資本(名字帯刀のために金を惜しまない輩)が独占し、
 「都心に住まう充実した生活を満喫」
などのキャッチ・フレーズでマンションが開発されることになるのかなあ、なんて卑屈な方向に考えてしまう筆者でした。

 10月16日、地元自治体から「プレミアム付商品券」購入引換券が届きました。一抹の申し訳なさを覚えながら綴った次第です。

公開日:2019年10月22日

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