思うところ70.「コモンセンス」 ~「孤独死」の告知義務について、「不動産屋」的見地から思うところです。~|オフィスランディック株式会社 代表取締役 齋藤裕

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思うところ70.「コモンセンス」 ~「孤独死」の告知義務について、「不動産屋」的見地から思うところです。~

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不動産会社 オフィスランディック株式会社 代表取締役 齋藤裕

スタッフが 30 分以内に急行できるエリアを重視する地域密着型の不動産会社代表。営業エ リアの絞り込みは、良質なサービスを提供する為の「選択と集中」であり、建築業界で言う ところの「多能工」を自負する。

私が20代の頃、同じアパートに住む外国人から、「君の信ずる宗教は?」と問われ、正直に「あまり深く考えたことはないなぁ、強いて言えば、『世間様』かな。」と冗談交じりに答えたところ、急に険しい顔で「君は、barbarianだ!」と言われて困惑した事がある。どうやら、違う宗教であることは問題無いが、「神を信じない人=野蛮人」ということらしかった。以来、その様な場面があったら、「buddhist(仏教徒)」と即答しようと思っている。

思うところ70.「コモンセンス」

私が20代の頃、同じアパートに住む外国人から、「君の信ずる宗教は?」と問われ、正直に「あまり深く考えたことはないなぁ、強いて言えば、『世間様』かな。」と冗談交じりに答えたところ、急に険しい顔で「君は、barbarianだ!」と言われて困惑した事がある。どうやら、違う宗教であることは問題無いが、「神を信じない人=野蛮人」ということらしかった。以来、その様な場面があったら、「buddhist(仏教徒)」と即答しようと思っている。

テーマとしてタブー視される「死」を取り上げるにあたり、まずは冒頭で私の宗教観に触れた。国際社会では理解されない日本人特有の「曖昧さ」を自覚しているが、仏教徒がクリスマスを盛大に祝うお国柄だから私一人を責められまい。

信仰や死生観は、個人の自由であり、不可侵のものであると思う。しかしながら、不動産の売買・賃貸の実務においては、「コモンセンス(常識・良識)」が必要であるとも思っている。自殺・他殺があった部屋が「事故物件」であり、告知義務があることに異論はないが、こと「孤独死」の原因が自然死である場合、どこまでが告知事項とすべきか悩ましい。仕事柄「見ざる、聞かざる、言わざる」という訳にもいかない。 宅建業法47条で「買主・借主の判断に重要な影響を及ぼすもの」には説明義務があるとされる。「重要な影響を及ぼすもの」とは?(心理的瑕疵の尺度には個人差があり過ぎる。)

「コモンセンス」は行政が国民に押し付けるものではないから、判例を基に「ガイドライン」を業界に通達すれば良いと思う。腐敗を免れた「孤独死」を前提に、「死亡推定日より○日以内に発見された自然死については、売主・貸主は、告知義務までは負わない。」と明確に方向性を示せば、仲介人となる我々も知り得ない私的な出来事になる。それでこそ、売却・募集活動も前向きに取り組めるというものだ。事件・事故であっても、超長期(50年?100年?)でも構わないから期限を定めて告知義務を免除する大胆な発想も否定しない。「知る権利」も大切だが、「知らぬ権利」もあると思うのだ。(例:不治の病なら余命を告知して欲しくない人もいる。)ガイドラインを示すことによって、「死」に対する「コモンセンス」が形成されていくだろう。マンション共用部における「転落死」については、情報開示しない管理組合が多い。住民の総意ならそれで良いと思う。「(専有部外)何処までも」、「いつまでも」際限なく告知事項を義務付けるならば、至る場所が告知事項だらけになってしまう。

建売業者が新築戸建の購入申込を三度も土壇場キャンセルされたという。その理由は、ある有名な「事故物件の掲載サイト」でご近所の戸建に記された「殺人(絞殺)事件」のマーク(炎の絵)を購入予定者が発見したからだそうだ。事件の真相は、老々介護に疲れ果てた老人の切なく悲しい無理心中事件(夫が死にきれず逮捕)であるにも拘わらず、強盗殺人事件と同列に扱われていることに違和感を覚える。購入を中止した人の理由も「自分は気にならないが、ご近所が事故物件サイトに掲載されているのはイヤ、自分が中古で売る時に(それが原因で)苦労するかもしれないから。」そう聞くとサイトの存在意義に何か本末転倒を感じざるを得ない。

江戸時代の大火「明暦の大火(1657年)」の死者は、10万人を超える。日本橋小伝馬町にある大安楽寺は、江戸時代の伝馬町牢屋敷処刑場跡である。東京駅では、1921年(大正10年)に原敬首相が暗殺されているし、1930年(昭和5年)にも濱口雄幸首相が銃撃(翌年死亡)されている。1923年(大正12年)の我が国過去最大の自然災害「関東大震災」の死者・行方不明者数は「明暦の大火」に匹敵するものだ。1945年、第二次世界大戦末期の東京大空襲での罹災者は100万人超(死者10万人超)、東京は焦土と化してしまった。それらは、「史実」であって「告知事項」ではない。それが現代の「コモンセンス」である。

私は、告知義務を矮小化しようと言っているのではない。「過剰な知る権利」と「無責任な情報発信」が暴走し始めているように思えてならないのである。「事故物件掲載サイト」の「炎」のマークが永遠に消せない履歴(デジタルタトゥ)だと言うならば、近い将来、「火の海」の地獄絵図となってしまうこと間違いない。

公開日:2020年3月2日

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