孤独死が発生した不動産売買の法的問題点|伊澤 大輔

×
←不動産賃貸経営博士
>
>
>
孤独死が発生した不動産売買の法的問題点

孤独死が発生した不動産売買の法的問題点

いいね・コインとは?
気になった数
シェア
ツイート
LINEで送る

弁護士 伊澤 大輔

十数年間にわたり、パートナー弁護士として、大手企業法務や不動産、損保業務を多く取り扱ってきました。それによって培われたスピード感、知見、交渉力を融合させ、ストレスを感じさせないリーガルサービスを提供します。

虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

一般的に、殺人や自殺があった不動産の売買は心理的瑕疵に該当し、不動産の価値が下がりますので、このような事実を説明せずに売却すると、売主は買主から、瑕疵担保責任(改正民法施工前の場合)や契約不適合責任(2020年4月1日の改正民法施工後の場合)を追及されるおそれがあります。

では、孤独死の場合はどうでしょうか?

今回は、孤独死が発生した不動産を売買する場合の法的問題について解説させていただきます。

単なる自然死は心理的瑕疵にはあたらない


結論から申し上げると、売却対象の建物内において、過去に人が亡くなったことがあったとしても、それが病死など自然死である場合には、特別な事情がない限り、心理的瑕疵にはあたりません。
 
人は必ず死ぬものであり、死それ自体はいつか生じうることであり、建物内での死をもって心理的瑕疵とは評価できないからです。それでは、自宅において安らかな死を迎えることもできなくなってしまいます。
 
心理的瑕疵に該当するのは、社会通念上、忌むべき事情があり、一般人にとっても住み心地の良さに重大な影響を与えるような場合であり、単に買主が主観的に不快感等を有するために目的が達成できないというだけでは、心理的瑕疵に該当しません。
 
例えば、東京地裁平成18年12月6日判決は、木造賃貸アパートの貸室の階下の部屋で半年以上前に自然死があったというケースについて、「社会通念上、賃貸目的物にまつわる嫌悪すべき歴史的背景等に起因する心理的欠陥に該当するものとまでは認めが難い」としています。
 
したがって、建物内において、病死などの自然死が発生したとしても、基本的に、それだけでは心理的瑕疵には該当せず、損害賠償責任を負いません。
 

長期間放置されていた場合は心理的瑕疵にあたりうる


しかし、自然死であったとしても、死亡後発見までに長期間放置され、死体が腐乱していたり、白骨化していたような場合など、嫌悪すべき事情があるケースでは、心理的瑕疵に当たることがあります。
 
名古屋高裁平成22年1月29日決定は、競売物件(マンションの一室)内で、死因は不明ですが、当該物件の所有者の遺体が4ヶ月間放置され腐乱し強烈な異臭を放っていた状態で発見され、この事実は周辺住民に広く知れ渡っているという事案について、物理的な損傷以外の状況も、当該物件の交換価値を著しく損なうものであり、民事執行法第75条1項に定める不動産の損傷に該当するという理由で売却許可決定を取り消しています。
 
また、東京地裁平成14年6月18日判決も、建物(2階立て木造住宅)内で病死した人が約3ヶ月放置されていた事案について、このような事実は一般人であれば嫌悪し当該建物に居住することを拒む性質の事実であり、建物の交換価値を減少させる事実であると認められるとして、隠れたる瑕疵に当たると判示しています。
 
孤独死とは、社会(家族や周囲の人間関係等)から孤立した状態で亡くなり、長期間気づかれない死を言いますので、死亡から数日程度で発見された場合はともかく、数ヶ月放置され、腐乱等していたような状態で発見された場合には、その物件には心理的瑕疵があるということになるでしょう。
 
このような場合には、不動産の売却にあたり、買主に対し、事実関係を説明する必要があり、そうしないと、買主から、瑕疵担保責任や契約不適合責任に基づき、損害賠償請求や契約の解除を主張されるおそれがあります。
 

公開日:2020年10月28日

いいね・コインとは?
気になった数
シェア
ツイート
LINEで送る

こんな記事も読まれています

こんな記事も読まれています

伊澤 大輔の記事

売却の記事

売却の新着記事

売却の人気記事

すべての記事

新着!大家さんのお悩み相談

あなたにおすすめの収益物件

大家さん・投資家さんのためのセミナー・勉強会・相談会

特集一覧

[特集]
不動産賃貸経営体験談を大家さんに語ってもらいました
ハワイでセミリタイア 別荘を手に入れる方法
経営者・成功者が語る ~経営者取材対談~
大家さんが注意すべき設備故障の対処法について設備メーカーが解説!

認知症対策として注目されている『家族信託』の仕組みとは?

サラリーマン大家さんの確定申告!アパート経営者なら知っておくべき白色申告と青色申告の違いって?

コラム特集

   [PR] ベテラン大家が選ぶ、賃貸管理会社とは?

PAGE TOP