賃貸管理集約という経費の創出ー経費の積み重ねは節税の一歩だが、無駄なものを買っても意味はないー~結果としての節税あれこれ~|Hisashi

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賃貸管理集約という経費の創出ー経費の積み重ねは節税の一歩だが、無駄なものを買っても意味はないー~結果としての節税あれこれ~

賃貸管理集約という経費の創出ー経費の積み重ねは節税の一歩だが、無駄なものを買っても意味はないー~結果としての節税あれこれ~

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大家 Hisashi

職域年金受給1年前となり、やっと「少しはラクになるかな」と、一息吐いています。サラリーマン大家→個人事業主→会社設立と、書けば順調に見えるものの、「いつもカツカツ」で生きてきた気がします。これまでの経験を、節税面から振り返ってみようと思います。

 経費の積み重ねは節税の一歩、ではありますが、無駄なものを買っても意味がありませんし、減価償却費のように実際の出費を伴わず経費になってくれる「お利口さん」の経費がそうそう転がっているわけでもありません。
 今回は、タイトルに「集約」という語があるように物件ひとつだけ、という場合には当てはまらないのですが、投資を継続して複数の賃貸物件を持つようになると、使えるかも知れないテクニック。
 なお、個人事業と法人の使い分けの第一歩でもあります。

<43> 賃貸管理集約という経費の創出

  家賃収入で左手団扇 というのは、不動産賃貸に手を染める方々誰もが一度は思い描く構図らしく、「定年を前にリタイア」とか、年金の見込額と家賃収入の兼ね合いとか、兎にも角にも「あくせく働かずともそこそこ安定した収入が望める」ことは大きな魅力のようです。
 足を踏み入れようか逡巡している段階では、

> 「貴男いったい何考えてるの?  そんな危ないものに手を出して!」

と非難していた連れ合いも(第<08>回 2017. 9.18 参照)、年に2回程度余裕資金で旅行に行けたり、誕生日や結婚記念日にそれなりのプレゼントが賃貸収入のお蔭で実現していると解れば、反発の勢いも削がれようというものです。

 では、だから、といって、そうそう安全無難な収入源が転がっているわけでもありません。満員電車に乗っての勤め人からは解放されても、「自由を摸索する努力」は必要です。

 さて、「試しに物件1戸を取得してはみた」が、買取業者の引っ切りなしの「売ってくれ」電話攻勢に辟易して、いつか機会があれば売り抜け処分をしたい人は、この先を読む必要はありません。
 物件を複数取得し運営に前向きになってきたなら、ちょっと考えてみてもいいかな、という話です。

 ------------------------------

 今仮に、月額家賃 65,000 円の物件を6戸まで買い進めた投資家さんがいたとしましょう。
  区分所有物件として、5%の賃貸管理委託料、建物管理会社に払う毎月の管理費が 10,000 円、修繕積立金が 5,000 円とします。
 6戸をそれぞれA、B、C、D、E、F物件として、その賃貸管理を委託する業者をa、b、c、d、e、fとしましょう。

 すると、65,000 円の家賃収入に対し、経費は、

・賃貸管理委託料 3,575 (65,000 × 5% = 3,250 + 消費税 325)
・建物管理委託 10,000
・修繕積立金 5,000

なので、手残りは、46,425 円(65,000 - 3,575 - 10,000 - 5,000)。

 このコラムでは、日本人の勤め人の平均年収をだいたい 400万円程度として論じていますから、

 46,425 × 12(ヵ月) × 6(戸) = 3,342,600 円

の手残り資金(可処分所得)があれば、税込400万円のサラーリーマン年収と同程度と考えていいのかな、と捉えます。

 勤め人は、源泉徴収税額表により、年金や健康保険も勝手に計算されて天引かれます。税込400万円であれば、手取りは 310 万円くらいでしょうか?
 大家さんは、この 3,342,600 円(家賃から必須経費を引いた残り)から、さらに国民年金、国民健保などを自分で払いますから、やはり300万に届くかどうか、といったところですかね。
 まあ大きな差は生じない範囲だと思いますが、

・勤め人は漏れなく惜しみなく取られ、
・自営業者は、この段階からまだ経費の積み上げや工夫の余地がある。

という印象です。とは言え、

> 大きな差は生じない範囲

と書いたように、勤め先の事務方が徴税事務などもすべてやってくれて、正に文字通り「手取り収入」を自由に使える煩わしさ無しの「気軽さ」を選ぶか、携帯電話代やパソコンなどの経費算入をいちいち考えて節税策を講じるかは、判断の分かれるところ。いざという時の雇用保険とかの存在もありますしね。
 でもまあ、国民の年収平均 400 万円を賃貸収入(冒頭に書いたように「あくせく働かずともそこそこ安定した収入」)で得ようとすれば、こんなところかな、と言えるのではないでしょうか。

 ところで、A~F物件の賃貸管理業者は、ごく普通に管理をしてくれるならば、1月の確定申告準備の頃に、年間の一覧表を送ってくれます。誰に貸したか、退去、次の入居者に伴う日割り計算などが判ります。
 が、当然ながらa~f業者は、担当物件の家賃収納だけを管理するわけです。それぞれの業者から送られてくる一覧表を、確定申告署に付ける決算書に落とし込んで作成するには大家さん自身、あるいは別途費用を発生させて税理士に依頼、ということになります。

 で、ここで考えをもうひとひねり、法人をどう使うか、という話になります。
 つまり、a~f業者から個々に出される収支管理を「集約」する業務を発生させ、自分の法人に委托するのです。
 個人事業で所有している6戸の賃貸物件に係る賃貸管理委託料の収支がてんでバラバラに出されてくると煩わしいので、それを集約するという「事業」を創出し、自分の法人に委托するのです。

 実際には5~6戸程度であれば、現実にはわざわざ管理集約委託費などを建てなくとも処理可能な筈ですが、「敢えて経費化」させてみたら?
 というわけです。
 扱い件数が少なくても、定款に管理費収入を得ることを謳い、今後拡大する予定だ、と言えば否認されることはないでしょう。
 世の中、役所で印鑑証明一つ、住民票一通発行してもらうのにも手数料が要るわけですから、これまでa~f業者から送られてくる賃貸管理実績を個人事業主の大家さんが丹念に管理せざるを得なかった分、法人にその作業を有償で委託したところで、「なるほど」とは思われこそすれ、否認される筋合いではないでしょう。

 勘定科目としてはa~f業者に払う「外注賃貸管理委託料(費)」と同じで、「外注賃貸管理集約委託料(費)」とでもすればいいでしょうか。ただし、法人を利用した管理会社の経費については色々取り沙汰されたことがあるらしく、どの程度が適正なのかについては落としどころの判断があるようです。
 仮に10%の集約委託費(法人から見ると「受託費」)を発生させたとすると、個人事業である大家側は、25,075 円の月額経費計上(上述46,425 円の経費差し引き後収益からさらに賃貸管理集約委託費 6,500 円を差し引き)。賃貸管理(+集約管理)部分だけで見ると、15.5%ですから、

 10,075 (3,575 + 6,500) ÷ 65,000 = 0.155 (15.5%)

家賃に占める賃貸管理費として著しく高すぎるわけでもないと言えます。
 結果、

・個人事業としての大家の収入(売上)は 780,000 円(65,000 × 12ヵ月)
・経費を差し引いた収益は、479,100 円(39,925 × 12ヵ月)
・6戸すべてが年間満室だとすれば、2,874,000 円。

となり、個人事業主控除内にギリギリ収まります。
 しかも、集約委託費 6,500 (×12ヵ月 × 6戸 = 468,000円)は、個人(事業主)から自社法人へお金を移しただけ、といった扱いです。

 法人の収入になってからのお金の動きについては述べませんが、個人と法人を天秤に掛け、

・経費になるか
・課税収入か、控除対象か
・実際の税率などからどっちがおトク?

といった具合に検討を加えていきます。なお、今回のリード部分に

>個人事業と法人の使い分けの第一歩

と書きましたしが、要は、「如何に納得のいく経費を仕立てるか」です。

 かつて発泡酒が麦芽使用率66%で発売され、その安価ゆえに大ヒットとなると、すぐさま国は増税策を講じ、麦芽使用率の攻防、そして第三のビールの台頭、といった泥沼とも言える戦いが繰り広げられました。
 この(2020)秋(10月)からビール系飲料の税率一本化へギア・がチェンジが始まりましたが、変わることのないアクションは、

 「国は、ちょっとでも売れてるところからは、何としても税金を取り立てようと狙っている。」

ということです。
 もちろん、「国民のため」に「薄く、広く」課税することに異を唱えるつもりはありませんが、その国民にしてみれば、決して「ああ、そのくらいならいいですよ、どうぞ課税して下さい。すぐに払いますから。」と納得できるような率・額でないことは読者の皆さんもお感じでしょう。

 間もなく、所得税の基礎控除48万円(10万円アップ)、青色申告特別控除55万円(10万円ダウン)が始まります。
 第<26>回(2018. 9.12)で安っぽい時代劇風遣り取りを試みましたが、制度が変わるウラには、為政側(徴税側)のどんな意図が潜んでいるか、どう対処することが節税につながるか、ウォッチすることを忘れないように臨みたいものです。

公開日:2020年11月4日

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