サブリースでも家主は入居者に対し、直接家賃を請求できる?|伊澤 大輔

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サブリースでも家主は入居者に対し、直接家賃を請求できる?

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弁護士 伊澤 大輔

十数年間にわたり、パートナー弁護士として、大手企業法務や不動産、損保業務を多く取り扱ってきました。それによって培われたスピード感、知見、交渉力を融合させ、ストレスを感じさせないリーガルサービスを提供します。

虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

最初に、問題に対する答えを申し上げますと「できる」ということになります。でも、どうしてそうなるのかについては、サブリース契約における法的関係や、法律上の根拠を正しく理解する必要があります。

今回は、サブリース契約における家主と入居者との法的関係についてご説明させていただきます。

サブリース契約とは?

サブリース契約とは、ざっくりと言うと、転貸することを目的とした賃貸借契約です。
 
サブリース業者が、家主から、アパートなどを一括で借り上げて、それを入居者に転貸するビジネスモデルです。
 
このビジネスモデルにおける、家主と、サブリース業者との間の賃貸借契約をマスターリース契約といいます。
 
これに対し、サブリース業者と入居者との間の転貸借契約を、サブリース契約といいます。
 
以上のとおり、狭い意味では、サブリース業者と入居者との間の転貸借契約を、サブリース契約と呼ぶのですが、広い意味では、このようなスキーム全体や、家主とサブリース業者との間の契約を、「サブリース」と呼んだりします。
 
このように、家主と入居者との間には、直接的な契約関係がありません。そのため、家主は入居者に対し、直接、家賃を請求することはできないように思えます。
 

転借人が賃貸人に対し直接義務を負う規定

民法第613条1項本文に、「賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負う。」と定められています。同条項は賃貸人保護のために定められた規定です。
 
サブリースでは、家主が予め転貸を承諾しているわけですから、「賃借人が適法に賃借物を転貸したとき」に該当し、同条項が適用されます。
 
そこで、家主は、入居者に対し、同条項に基づき、家賃を直接請求できるのです。入居者の家主に対する責任は、契約に基づくものではなく、民法に基づく法定責任ということになります。
 
通常は、賃借人(転貸人)であるサブリース業者が約定通り賃料を支払ってきますので、家主が入居者に対し直接家賃を請求する必要はありませんが、サブリース業者の経営が悪化するなどし、賃料の支払いが滞った場合に、同条項に基づき、家主は、入居者に対し、直接家賃を請求することができるのです。
 
もっとも、同条項に基づく請求では、賃借料より転借料のほうが高い場合でも、家主は入居者に対し、賃借料の範囲でしか請求することができません。すなわち、家主のサブリース業者に対する賃借料が1室あたり月額8万円であるのに対し、サブリース業者の入居者に対する転借料が1室あたり月額10万円であった場合、家主は入居者に対し、月額8万円の範囲でしか請求できません。
 
反対に、賃借料のほうが転借料よりも高い場合でも、家主は入居者に対し、転借料の範囲でしか請求することができません。すなわち、家主のサブリース業者に対する賃借料が1室あたり月額12万円であるのに対し、サブリース業者の入居者に対する転借料が1室あたり月額10万円であった場合、家主は入居者に対し、月額10万円の範囲でしか請求できません。入居者は転借料の範囲でしか支払義務を負っていないからです。
 
なお、当然のことながら、家主が、サブリース業者と入居者双方から、二重に家賃をとることはできません。転借人が支払えば、その範囲で、賃借人及び転借人の賃料支払義務は消滅します。
 
また、既に入居者がサブリース業者に対し転借料を支払っている場合には、サブリース業者が家主に対し賃借料を支払っていなくても、家主が入居者に対し、家賃を請求することはできません。既に、入居者の転借料支払義務は履行されているからです。
 

公開日:2021年1月30日

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