中古アパートは利回りが良く、儲かる?~土地活用のまことしやかなウソの話!⑤~|不動産コンサルタント 松葉 民樹

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中古アパートは利回りが良く、儲かる?~土地活用のまことしやかなウソの話!⑤~

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その他識者 不動産コンサルタント 松葉 民樹

間違った知識や様々な法改正や税制改正、新設制度など、地主さんや賃貸不動産オーナーさん、不動産投資家さんにコンサルティングしてまいりました。私のコラムと同様、皆様の少しでもお役に立てれば幸いです。

近年、「金持ち父さん」現象から、サラリーマン兼業大家さんや不動産投資家が増えています。
不動産賃貸経営から不労所得を得、ハッピーリタイアや自己の老後の生活資金や将来不安な年金対策をと考える方が先行き不安な現代において当然の流れかも知れまん。
その流れの中で中古の賃貸物件がかなり流通しているのですが、果たして本当に中古物件での不動産賃貸経営は儲かるのでしょうか?
販売する側はメリットばかり強調しますがデメリットはどうなのでしょうか?
今回は中古物件のリスクとデメリットを書きます。

中古アパートは利回りが良く、儲かるというウソ!

   土地、建物で3000万円、木造2階建てで1K6戸、家賃収入が50,000円/戸という中古アパートがあります。建物の築年数は18年です。現状は満室で毎月300,000円の現金収入があり、年間で3,600,000円の収入が見込めます。

   情報を持ってきた不動産仲介業者は「表面利回り12%、絶対儲かりますよ!」と言っていますが果たしてそうなのでしょうか?
   そもそも「利回り」とは内部収益率(IRR)のことで不動産投資の場合、買って売却予定期間迄の(通常は3年〜5年)値上り益or損(キャピタルゲインorロス)と正味収入or正味損失(インカムゲインorロス)の合計を総投資額で割って算出します。

   地価の著しい上昇やハイパーインフレでもなければ、3年後〜5年後、築21年〜築23年の古アパートの価格は確実に下落します。キャピタルロスが発生します。

   不動産投資は「入口戦略」「保有時戦略」「出口戦略」をちゃんと計画的に計算しなければならないのですがほとんど方は「出口戦略」がありません。株式投資でもいくらで買って、配当金をいくら貰って、いくらで売るか‥当たり前の事です。

   次に入居者との賃貸借契約の件ですが、通常、住居の貸室賃貸借契約は2年契約です。現状満室で購入するということは全ての貸室の契約残存期間が2年未満ということです。契約を更新してくれる入居者もいるでしょうが、退去される入居者も存在します。

   退去された貸室を次に募集する時に従来の家賃で募集できるのでしょうか?また修繕やリフォーム等での出費はどの程度必要なのでしょうか?それらを勘案して正味インカムゲインはいくらになるのでしょうか?

   不動産投資家は自分のことで頭がいっぱいで売主のことは全く考えない方が多いのですが、よほどの理由がない限り、そんなに儲かる物件を手離す売主はいません。

儲からないか思った程の儲けがないか、老朽化して修繕費用がかさむのか、はたまた欠陥住宅なのか(平成12年住宅品確法施行前の築16年以上の物件に多い)、耐震改修をしなければならないのか、トランプゲームの「ババ抜き」の自分がババを掴んだから誰かにババを引いてもらおうと売りに出しているのか‥
   売主さんの売却理由を精査して判断しなければ最悪は自分がババ抜きのババを掴む恐れもあるのです。

   最後に税務的な問題とキャッシュフローに関する問題です。不動産賃貸経営の税的優遇に「減価償却費」があります。誰にも1円も支払っていないのに価値が下がった分を経費として売上(家賃収入)から引いて課税所得を計算するという制度です。アパート経営の場合、建物の価値が下がった分です。

   1棟売りのアパートは土地・建物ともで販売されますが、消費税の扱いは土地は不課税で建物は課税取引です。よって売主は税務署に土地・建物で3000万円で売却した場合、3000万円の内訳は土地が2500万円で建物が4,629,629円で預り消費税が370,370円ですと申告します。

   売主さんからすれば土地・建物で建物(アパート)を内税で売却していますから建物価格が大きくなると預り消費税が増えて、結果、自分の取り分が減ってしまいます。

   ところが買主(不動産投資家)は減価償却費の対象になる金額が3000万円投資したにもかかわらず370,370円しかありません。しかも減価償却の期間は法律(旧大蔵省令)で定められていて、木造は22年ですから僅かな期間しかありません。設備は15年ですからハナからありません。
   しかも、諸経費以外を全額借入金(3000万円)で購入したとすると、中古アパートですから借入返済期間は新築物件(20年〜35年)に比べてかなり短くなります(せいぜい10年)
   金融機関への借入金返済のうち金利分は経費になりますが元金返済分は経費にはなりません。借入期間が短いということは毎月の返済額が多く、その中で元金返済分も多いということです。

   実際には支払っていない減価償却費という経費と実際には支払っているのに経費にならない元金返済分の関係は不動産投資家のキャッシュフローに多大な影響をもたらします。
                  減価償却費   >   元金返済分   →   キャッシュフロー   >   課税所得
                  減価償却費   <   元金返済分   →   キャッシュフロー   <   課税所得

   中古のアパートばっかり5棟も10棟も所有するとキャッシュフローは年間200万円しかないのに課税所得は1000万円もあり所得税・住民税、事業税が250万円もきて「黒字倒産」なんてことが起こり得るのです。

   表面の見掛けにだけとらわれているととんでもないことになりかねません。

   ただし、土地もない、資金もない、ステップアップして行く為の第一歩として中古アパートを購入することは否定はしません。その時は3年〜5年で「保有時戦略」と「出口戦略」をしっかり立てステップアップの材料と認識して購入・経営して行くことが肝要です。
   

 

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更新日:2017年12月16日 (公開日:2016年11月21日)

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