思うところ98.「苦言」 ~初めての不動産投資は、「腹八分目」ではなく、「腹六分目」をお勧めしています。~|オフィスランディック株式会社 代表取締役 齋藤裕

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不動産会社 オフィスランディック株式会社 代表取締役 齋藤裕

スタッフが 30 分以内に急行できるエリアを重視する地域密着型の不動産会社代表。営業エ リアの絞り込みは、良質なサービスを提供する為の「選択と集中」であり、建築業界で言う ところの「多能工」を自負する。

「バブル経済」の余韻がまだ残る平成の初めの頃、見識を疑う販売(促進)資料を目の当たりにして「苦言」を呈したことがある。(本コラムは、前回のコラム№97「インフレ」の後編)

思うところ98.「苦言」


「バブル経済」の余韻がまだ残る平成の初めの頃、見識を疑う販売(促進)資料を目の当たりにして「苦言」を呈したことがある。(本コラムは、前回のコラム№97「インフレ」の後編)

当時は事業用資産の買換特例を利用する富裕層に投資(収益)用の一棟売りのマンション・アパートが良く売れていた。豊富な需要があればこそ、一棟売りを手掛ける不動産ディベロッパー(以下「デベ」)は、都心部はもとより、特例の対象となる既成市街地外にも積極的に新築物件を供給していたのである。それらの流通促進を担っていたのは、事業用資産を専門に取り扱う仲介部門と金融機関(時に税理士)の連携だったように思う。新入社員の私が配属されたのは、まさにその部署だった。(当時は、同期入社の者の殆どがリテール部門に配属、私は創部間もない法人営業部の「新卒採用第1号」だった。)

「デベ」各社の営業スタッフが客付(仲介)依頼の為に物件資料(物件価格は億単位、完成予想図や図面集の類い)を持参して頻繁に社を訪れた。その資料には、仲介会社が投資家に説明し易いよう(穿った見方をすれば、「売らんが為」の)賃貸経営のシミュレーション(想定されるレントロールと返済計画表)が添えられていることも多く、その説明を受ける初期対応は、暗黙裏に唯一人の若手(周りは皆年配者、手間の掛かる「収益物件」よりも「高額土地案件」に執着の傾向)である私の役割になっていたように思う。誰よりも早く、かつ膨大な販促資料を手にして内容を読み熟せるようになると、それらの安易な取り扱いに「危機感」と「疑念」を抱いた。

「投資が自己責任とは謂えども、これ(シミュレーション冊子)を一般顧客(不動産投資初心者)に『社』として(そのまま)丸投げ(交付)するのは如何なものだろうか。家賃も資産価値もこのような高い上昇率を維持できる確証はない。しかも、稼働率が100%に近い前提になっている。変動金利6%で過剰な借入(当時は住宅金利ですら4%超、事業用の借入れなら6%超でも一般的)をすれば、毎月多額の持ち出し(返済額)となる。将来(財務的に)破綻しかねない。」という主旨を社内で述べたと思う。若手営業マンならではの素朴な疑問でもあった。

因みに、財務基盤の弱い不動産投資の初心者(特に個人の副業的賃貸事業)に対して私が推奨するのは、「腹八分目」ではなく、「腹六分目の投資理論(勝手に命名)」である。長期安定した「インフレ」を期待しつつ、万が一の不測の事態(「デフレスパイラル」のような景気低迷)に耐えうる財力(余裕)があれば、リスクを背負った積極投資(リバレッジ経営)で良いと思うのであるが、事業用の資金調達は住宅資金の融資に比べて高金利・短期の借入になるからリスクも大きい。「チャレンジ精神」は賞賛すべきと思うが、「博打」であってはならないと思うのだ。だから、初心者は「腹六分目」、つまり、全て6掛けの保守的な不動産投資が好ましいと思う。借入額を購入価格比の6割(担保評価額の6割なら尚可)以下、月額返済額を月額賃料の6割以下、稼働率(入居率)を6割(4割の空室)、又は家賃を6割(4割の下落)の想定、借入金利は6割(1.6倍)の上昇、それらに耐えうる「キャッシュフロー経営」をお勧めする。その検証は、金融庁が銀行に対して行う「ストレステスト」のようなものだと思って貰えば良い。それならば、想定外の空室に過度な動揺をすること無く家賃設定を調整して稼働率を回復できるし、いざとなれば「売却(損切り)」によって危機・破綻を回避できる。また、将来の「改良費(修繕費)」を積み立てることも可能だ。適切な改良を施してこそ「節税効果」と「稼働率向上」の相乗効果が生まれる。また、万全の「足場」を築くことで次なる段階は積極投資に転ずることもできる。よって、精神的・金銭的のどちらか一方でも余裕が無い場合、初めて不動産投資するには、「時期尚早」の可能性があることを疑うべきと思う。尚、守銭奴的な人(お金に過剰な執着心を持つ人)は、改良費を惜しむあまり経年劣化を放置したり、無謀な値上げ要求をしたりして稼働率を下げてしまう傾向がある為、不動産投資に向かない。

話を戻そう。当時は、大手銀行のトップですら、「向こう傷は問わない。」と言う程に攻めの経営姿勢を崩さなかった頃である。不動産会社は、それに便乗するかのように妄信的成果主義を以て販路を突き進んでいた。だが、私の心配はその後現実のものとなっていく。

「過去を分析」することは容易いが「未来を語る」ことは難しい。振り返って思う、社会人として駆け出しの「小僧」がその空気(世相・社風)の中で善くぞ物申した。

公開日:2021年4月30日

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