正当事由が認められる判例とは?テナント店舗や営業所に立退きを求める場合の注意点(その2)|片島 由賀

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正当事由が認められる判例とは?テナント店舗や営業所に立退きを求める場合の注意点(その2)

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弁護士 片島 由賀

これまで,当事務所では,不動産の境界問題,隣地トラブル,敷金・原状回復,賃料未払いへの対応,明渡し請求等の各種トラブル対応,離婚や相続に関連する処理などの各種業務に携わってきました。 賃貸経営もいつも順風とは限らず逆風があるかもしれませんし,逆風は避けたいところです。トラブルへの対処は想像以上の精神的・身体的なご負担になることがあります。そういった逆風を順風に代える・逆風を防ぐために,法的なサポートを迅速かつ粘り強くさせて頂いています。

 前回は、オーナー様が所有している不動産に入っている店舗や営業所に立退きを求める場合、「正当の事由」があることが必要であり、4つの考慮要素があるとお話しをしました。
 今回はこの4つの要素が裁判ではどのような形で考慮されているのか(要はオーナーが立退きを求めるのにどういった事情があればプラスの要素として考慮されるのかどうか)を見ていきます。

オーナーが建物使用の必要とする事情ありとされている場合は?

「建物使用の必要性」あるという主張で考えられるのが、主に居住の必要性がある場合と営業で使用する必要性がある場合、建物を明け渡してもらう必要性がある場合が考えられます。

 裁判例では、居住の必要性と営業で使用する必要がある場合とで拮抗するときは、居住の必要性を重視しています。ただ、戦後間もない頃の裁判では経済的な困窮から,オーナーが居住する必要がある場合に建物使用の必要性があるとされていましたが,住宅事情が緩和された頃(50年以上前になります)からよほどオーナーが居住する必要性がある場合でない限り、この要件だけで正当事由が認められるケースは少なくなっているとされています。

 最近では、むしろ営業上の必要性という点は、老朽化するなどした古い建物を建て替えて再開発したい、土地の有効利用を図りたいといった場合の方が増えています。これについては市街地再開発計画が進んでいる,賃貸借契約終了後直ちに賃貸目的物の占有を回復して建て替えに着手できるほどの具体的な建て替え計画があるなどかなり具体的な再開発計画が練られていない限り、建替えについて正当な事由ありとされません。敷地の効率的な利用をしたいといった事情だけでは正当な事由あるとされるのは難しいでしょう。もっとも、最近では高額の立退料の申し出があることが補完する事情として正当な事由ありとするものもみられるようになってきています。

 また、立退きを求めるにあたって、建物の耐震性に問題がある、という理由や老朽化しているという事情を挙げることがありますが、これはオーナーの建物使用の必要性のところで考慮するよりも、「建物の現況」のところで考慮するのが一般的です。そのため、建物自体に関する事情については、補完的な要素として考慮されると考えた方が良いです。

 他方でオーナー・テナントの建物使用の必要性を比べても大差ない場合には、契約を交わしたときの事情や立退料の申し出があるかどうか、といった補完的な事情が考慮され、「正当な事由」があるといえるか判断されることになります。

公開日:2019年7月11日

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