法人化での節税を考える。所得税の節税対策としてのプライベート・カンパニーを運営~法人化についてのメリット・デメリット~

職域年金受給1年前となり、やっと「少しはラクになるかな」と、一息吐いています。サラリーマン大家→個人事業主→会社設立と、書けば順調に見えるものの、「いつもカツカツ」で生きてきた気がします。これまでの経験を、節税面から振り返ってみようと思います。
第00回に書きましたが、筆者は5年前に「不安混じりのGOサイン」で会社を設立しました。ようやく最近になって個人事業との違いが理解できてきたかなあと感じ、数年先を見通すことも可能になってきました。戸惑いや「分っかんねえなあ!」の連続でしたが、今の内にそうした「あたふた」を整理しておきたいと思います。
<07>プライベート・カンパニーの設立
このコラムをお引き受けするにあたって、編集部からは
「週イチくらいのペースで概ね3ヶ月くらい」
とのお話だったので、急ぎ足で、
・経費のこと(第01回)
・サラリーマン大家(第02回)と要注意点(第03回)
・規模の小さい個人事業主(第04回)
・勤め人と事業主(第05回)
・クレカ/nanacoによる節税小技(第06回)
と進めてきました。いろいろ触れたいことはありますが、法人化についてもザックリ眺めてみたいと思います。
なお、このサイトのコラム欄は、読者の方が直接コメントを書き込めるようなブログ形式にはなっていないのでホッとしていますが、「お悩みQ&A」コーナーなどに質問が寄せられても、筆者は一切答えません。
コラムで私なりの節税実践をご紹介し、読者の方が参考になさる分には何の問題もありません。しかし、個別の相談などに応じて「こうするといいよ」などと返すと、ご存じと思いますが税理士法違反となります。
筆者は税理士の資格は持っておりませんし、このコラムでは唯我独尊の思い上がりは控え、
> 税理士に問合せながら、可能なものは経費化 (第04回)
といったスタンスで書いています。筆者名もニック・ネームにして頂いているのは、予期せぬトラブルを避けるためです。読者サービスに欠けるとか、ケチとかいうつもりはなく、法令違反的な匂いが漏れかねないグレーを教唆するようなコラムになってはいけないだろう、と考えていることだけはご理解下さい。
さて、法人化の話ですが、ここでも、
・単独個人投資家
という前提で考えます。よく言われるところの、
・役員報酬を払って給与所得控除を発生させる
・家族を社員にして給与を払い、所得を分散
といったワザは使いません。取り敢えず、
「個人のままだと、累進課税で所得税が上がっていくから、会社でも作ってみようか。」
という段階です。言い換えれば一人会社です。
しかも、登記上代表者は存在しますが、役員報酬も発生しない事実上は無人会社を想定します。従って、
・会社を受取人にして役員に生命保険を掛け、損金に
なんていうことも考えませんし、
・退職金規定を作って役員に退職金を払おう(損金に計上可)
という発想も有り得ません。法「人」として源泉税の預り金が発生するのは、法人名義の物件を取得する際に司法書士報酬の経費が発生し、個人事業の司法書士さんがその源泉税額分を計算した時、くらいのものです。役員に払う給料から源泉税を預かる、ということもありません。
何故かというと、法人は、社会保険が強制加入となり、役員なり社員なりの「実際の人」が絡んでしまうと、厚生年金や健康保険を支払わねばならず(会社・役員折半)、2000万円程度の事業年収では遣り繰りが却って苦しくなります。
因みに、給与所得控除の65万円未満で済む64万8000円(54000円/月)を常勤役員報酬として経費発生させたとします。
すると年間19~20万円ほどの社会保険料納入義務が生じます。会社側と役員本人で折半といっても、プライベート・カンパニーですから元々同じ財布です。
国民年金と国民健康保険の年額合計は36万円ほどですから(介護保険含む)、単年度で見ればお得にも見えますが、強制加入の社会保険は70歳まで補足されます。つまり、65歳で年金受給が始まっても、役員報酬を貰っていれば厚生年金の納付は続くわけです。
筆者の場合は、51歳(続く嘱託員も含めると56歳)で勤め人を辞めるまでに年金原資は十分積み上がっており(「十分」かどうかは判断の分かれるところですが、一般報道される額などと比較すると、早期退職も加味して考えれば、まあ遜色のない額)、既に加入期間も450月を越えています。年金事務所に問い合わせましたら、職域年金で10~11万/月、65歳からは16~17万/月(見込)の原資があるとのことで、基本は個人事業で生活し、節税対策としてのプライベート・カンパニー運営で構わないわけです。
つまり、筆者の個人的事情を反映した会社設立を書いていますので、
「おお、そうか! 無人会社という手があるか!」
などと安易にマネをなさることは、必ずしも良い結果を生むか不透明、というか最終的には個々人ケースバイケースなので、熟考を要します。
特にお若い方にとっては、将来の年金原資を貯めることと節税の両輪から睨んで、ある程度は役員報酬を発生させ、老後に備えるという視点も必要です。
例えば上述の退職金なども、収入の何パーセントまで認められる、といった規定があり、筆者のように50歳代半ばで会社を作ったからといって年何百万円も積立損金算入というわけにはいきません。減価償却が耐用年数で少しずつ経費になるように、退職金積立もチリツモなのです。
「高い!」と憤慨しながらも会社が徴税してくれて知らず知らずの内に過不足のない年金が貯まっている基盤に立ち、「もうちょっとお勉強」とばかりに不動産賃貸経営をするのは「安全性」の守りだと考えます。
しかし、そうした後ろ盾の無い個人事業者(年約70万足らずの国民年金だけ)や、後先無く節税だけを優先した役員報酬の極端な減額抑制は、どこかで将来の保障を別途担保すべき、とお考え下さい。
筆者の場合は、法人が物件を取得する際に、外部の金融機関からの借入に頼らず、筆者自身が自分の法人に資金を無利子で貸し付けて実行する場合があります。
早い話が、会社は代表者である筆者のスネかじりなわけです。
そうした状態の場合、会社に貸してあるお金は、私が死亡して相続などが発生したら、結局私の財産と見なされ相続税の対象になります。
ゆえに、会社という「人」格を持った、云わば「我が子」をスネかじりから早目に独り立ちさせてやる必要があります。
個人事業者であり、同時に設立法人の登記代表者である立場とは、
「個人(親)の節税に貢献させながら、一方で その子(法人)が一人前になるのを助ける。」
というイメージ。同じような図式で言うなら、
「扶養控除が節税に貢献しながら、高校・大学に行かせてやり成人・独立まで我が子を育てる。」
というのと同じです。
一人前に稼げるようになる(例えば融資を引張ることができる認知度とか社会的信用を得る)までは、親が保証人になってやるのと何ら変わりません。子(法人)は子で、自分(法人)名義の物件から上がってくる収益で、過去の借入を親に返済し、だんだんと一人前に成長する。そんな感じでしょうか。
第04回コラムを「駆け出し個人事業主」としましたが、今回のこのコラムも、
「とても人件費などを割いて人を雇うなど夢にも考えない」
段階の会社だとお考え下さい。せいぜい、多忙な時期に臨時のアルバイトを雇って帳簿や領収書類を整える、くらいのものです。
もちろん、事実上の無人会社ですから、社員旅行などの福利厚生費は当然NGです。会社を運営する「人」が居ないのに、温泉に浸ることなど有り得ません。
ただ、次なる投資物件を下見に行くなどで、代表者が視察に行く際の旅費を計上する、というような場合はあるかも知れません。もちろんその場合には、行程、現地不動産業者の聞き取り、物件視察の一環として写真の記録、掛かった経費の領収書、等の証拠を保管しておく必要があります。
筆者の場合、定款に記載した事業内容は不動産賃貸経営だけではなく、個人事業の「一般」と同じような業務も挙げていますので、
・通信費を事務所用固定電話は法人経費で、移動体通信は個人事業で
などと分けるとか、
・クライアントが法人か個人かでどちらの経費にするか
など、結構シビアに経理処理をしています。
公開日:2017年9月11日
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