サラリーマン大家の<収入><支出>の考え方と「収支管理」ソフトの選び方~結果としての節税あれこれ~|Hisashi

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サラリーマン大家の<収入><支出>の考え方と「収支管理」ソフトの選び方~結果としての節税あれこれ~

サラリーマン大家の<収入><支出>の考え方と「収支管理」ソフトの選び方~結果としての節税あれこれ~

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大家 Hisashi

職域年金受給1年前となり、やっと「少しはラクになるかな」と、一息吐いています。サラリーマン大家→個人事業主→会社設立と、書けば順調に見えるものの、「いつもカツカツ」で生きてきた気がします。これまでの経験を、節税面から振り返ってみようと思います。

 しばらく前から、コラムの記事一覧にこれまでの総PV(ページ・ヴュー)が載るようになったようで、筆者の過去の記事の内、アクセスの多かったランキングも分かって参考になります。サラリーマン大家の読者が多いのでしょうか?
 今回は、手取り給与収入でなく、事業(賃貸経営)を考えるには、税込年収で収支を考える習慣を身に付けましょう、という入り口のお話。

<24> 収支管理(家計簿)ソフトは必須(1)

 筆者が、初めて賃貸物件を取得し、当然のことながら確定申告を行うようになったわけですが、その年中行事ももう20年を越えます。
 今でこそ、個人と法人とで、「どっちの経費に算入?」などと使いこなしている真似事を遣り繰りしていますが、最初は決算書ひとつ作るのも一苦労でした。

 振り返って思うのは、独立した事業体の収支決算を作る会計ソフトは、必ずしも税引き後の手取り給与所得(最終消費者としての個人生活)や、傍らで営む賃貸経営や副業までを網羅した収支全般を提示してくれるわけではない、ということでした。
 それを知るためには、俗に言う家計簿ソフトが必須です。

初めはフリーの小遣い帳や表計算ソフトで
 収支管理は、

・収入(家賃、共益費、敷金など)
・支出(賃貸管理委託料、建物管理費、修繕積立金、固定資産税など)

を毎月記録することが基本中の基本です。
 フリー・ソフトの中には、簡単な小遣い帳程度の金銭出納管理用に無料で使えるものがあります。ただ、シンプルすぎて、マイナスを計上できないものもあります。「財布の中がマイナスということは有り得ない」という前提で設計されているためでしょう。
 しかし、借入を利用した賃貸経営では、

・初期に借入(「負債という収入」)を得て、毎月返済表に従って「マイナスの借入(返済)」をしていきます。当初の借入が徐々に減った分が資産に替わっていく。

わけです。BS(貸借対照表)で、負債も資産と認識される所以です。
 その他、売却に伴い、掛けていた損害保険の解約で、先払い(通常5年分をまとめて払い込み)した保険料の一部が還って来たりしますが、これなども「かつての支出の一部がマイナス(支出欄にマイナスなので、結果的に収支合計はプラス)」と考えると、同じ損害保険料項目で処理ができます。返戻金を雑収入などの項目を建てるよりシンプルに処理できます。

 そんな風に考えると、セル内の数値にマイナスを扱える表計算ソフトの方が管理はし易くなります。
 代表的なエクセルなどでは、不動産経営に特化したテンプレートも見つかりますから、捜してみるといいでしょう。

 表計算については、ワープロと違って日常生活に必要のない人には無縁で、項目設定を一から始める敷居の高さがありますが、使い慣れている人にとっては、結構取り組み甲斐のある存在でしょう。

収支管理(家計簿)ソフトの必要性
 真っ新な表計算ソフトを前に、あれこれ項目設定から考えるのも、好きな人にとっては楽しみのひとつに成り得るでしょうが、物件が増えて複数のローンを抱えたり、日常生活での収支にクレジット・カード払いなどが絡んでくると、日付や項目が設定済みの収支管理ソフトの方が手間要らずです。
 特に、上述したように、決算書作成のための会計ソフトは、事業体それぞれの収支管理はできますが、筆者のようなポジションにいると、

 「おっと、法人の引き落しの日にちょっくら口座が残高不足。一週間だけ個人から借りて間に合わせ、月末に法人から個人に返済。」

といった「遣り繰り」をしますが、これを会計ソフトでやろうとすると、

・個人側「mm/dd、法人へ短期貸付、xxxx円」(法人も借入を建てる)
・法人側「短借返済mm/dd分、xxxx円」(個人も入金による貸付消滅)

といった処理が必要になります。
 しかし、家計簿ソフトであれば、設定したアカウント(勘定口座)間の「資金移動」扱いで済ませられます。言ってみれば、友人間で昼食に行き、支払いの段になって、
 「あ、悪い!  財布を上着のポケットに忘れてきた。オフィスに戻ったら返すから今だけ貸しといてくれない?」
みたいな10分間だけの貸し借りは、家計簿ソフト上では「覚え」に止められます。

最終的にはひとつの財布の把握(サラリーマン大家段階)
 以前、第<07>回で、

> 法人は、社会保険が強制加入
> 社会保険料納入義務が生じます。会社側と役員本人で折半といっても、
> プライベート・カンパニーですから元々同じ財布

ということを書きました。
 が、いきなり法人と個人というより、本コラムのアクセス数ランキングからすると、給与所得者と個人事業者段階の話をした方がいいのかな、と考え、先ずはサラリーマン大家を想定して述べます。

<収入>
1.給与 (所得ではなく、収入です。つまり税込額です。)
 ・例月分
 ・賞与分
 ・通勤手当 (通常非課税です)
 ・その他 (残業手当など、毎月定額でないものなどは別項目もアリ)
2.事業 (不動産賃貸経営収入)
  ・家賃 (例月、賃貸料)
  ・共益費、管理費 (決算書上は賃貸料)
  ・礼金、権利金、更新料
  ・その他の収入 (太陽光発電など)

 給与収入を税込で把握するのは、確定申告で過不足(納税、還付)を分かりやすくするためです。
 通勤手当は、非常勤か、臨時職員(アルバイト)かで、扱いが違ったりしますが、労働雇用契約であれば無税の筈です。
 残業手当など、例月定額でない収入は、課税非課税を問わず、別項目の方が便利とは思いますが、税額計算上は分けなければならないわけではありません。

 敷金は、決算書上は「預り金(流動負債)」ですから、収入ではないのですが、決算年度を跨いで2年とか3年とか入居しているのが普通ですから、口座(通帳)上は収入に見えます。あるいは、賃貸管理委託会社が預かる場合もありますから、その場合には項目自体が不要です。
 太陽光発電による収入については、国税庁のサイトをご確認下さい。

<支出>
1.税金
 ・所得税 (厳密には、所得税+復興税)
 ・住民税
 ・固定資産税、都市計画税 (自宅分、賃貸物件はぞれぞれ物件毎に)
 ・消費税
 ・利子税
2.事業 (経費/不動産賃貸経営分)
 第<01>回で触れた「考え方の基本」を参考にして下さい。物件毎に、
 ・租税公課 (固定資産税、都市計画税)
 ・損害保険料 (決算書に項目有)
 ・修繕費 (決算書に項目有)
 ・ローン元金
 ・借入金利子 (決算書に項目有)
 ・賃貸管理委託料 (自主管理なら不要)
 ・修繕積立金
 ・建物管理費
 ・雑費 (管理組合総会参加のための交通費など)
を把握します。件数が多くなると面倒ですが、重要なポイントです。

 所得税は、給与明細表に記載分と、賃貸収入分を認識するために必要。
 住民税は、課税対象年度と徴収年度が違うので把握のため認識が必要。
 固定資産税、都市計画税は、自宅か賃貸物件かで経費化を判断。
 消費税は、税込処理か本則課税かの判断が必要になる。
 利子税は、将来法人化したときには還付の対象になったりする。

 経費の内、ローン元金は決算書には影響がありませんが(損益計算書には経費として利子の欄はありますが、元金は項目すらありません)、実際に毎月出て行くお金なので、遣り繰り上マネージメントが必要です。
 区分所有物件(マンション)だと、建物管理費と修繕積立金が税引き前の経費に算入できます。
 ここには出てこない項目で、決算書段階で顔を出すのが減価償却費になります。計上は年単位ですが(取得・売却などに伴う除却が発生すると日割計算も発生)、ここでは触れません。

 なお、一棟ものは、修繕(外壁高圧洗浄など)をするのも、その時期も、判断は持ち主次第ですから、費用は税引き後の手持ち資金で行うことになります。(実施年度に経費化。)

 巷間、悪徳か良心的かは別として、マンション投資を始めれば、
 「本業の給与収入から源泉徴収された税金が、不動産所得のマイナス分と損益通算されて、還付を受けられます。」
との誘い文句が飛び交いますが、その真偽は、以上のような収支を年間を通じて把握し、勤め先の給与収入および源泉徴収された税金や控除された社会保険料、さらには諸手当などもちゃんと摑んだ上で導かれてくるものです。
 しかも、減価償却費は終了すれば経費計上できなくなりますし、借入が元利均等であれば、経費となる利息が減っていきます(もちろん元金均等返済でも利息は減りますが、次に述べる一部繰上返済のリスクがあります)。
 その他、

・赤字の場合は利息を按分して土地分については経費にできないとか、
・家賃は長い間には下落するから元利均等払いは負担の比率が増すので適宜一部繰上返済が望ましいとか、

留意すべき点は多々ありますので、収支管理(家計簿)ソフトを使うことは、こうした先々に起こる「節目」を予測しながら、対応する経営判断の肝とも言えます。例えば、サラリーマンは、一般に夏のボーナスが6月に支給されますから、

 「4月になってから退去しやがって。募集してもなかなか入居者が決まらない。もう3カ月空室だけど、しゃあない、ローンの返済分は今度のボーナスから補填するか。」

といった対応ができます。そうした際にも給与・賃貸両方の収支をトータルに睨んでいれば慌てずに済みます。(ただし、家族に内緒で不動産投資をしていたりする場合は、こうした補填が、「お父さん、今年の夏は何処に連れてってくれるの?」に応じられなくなったりしますので、日頃からトラブルに対応できるだけのバッファを心がけましょう。笑)

 なお、最近の家計簿ソフトは、ローン計算やクレカ払い、銀行口座管理などにも対応した多機能なものが揃っていますので、使いやすいものを選べば良いと思います。
 ただ、家計費項目以外の物件管理への流用ですから、あまりに家計簿然としたものより、収入項目や支出項目の増減や項目名設定などがフレキシブルにできる、自由度の高いものが良いでしょう。
 タイトルにはカッコ付の(家計簿)として、「収支管理」ソフトは必須、と書いたのはそうした意味からです。

更新日:2018年9月23日 (公開日:2018年9月3日)

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