【第6回】はじめての賃貸経営~敷金って意外とややこしい|エジソン法律事務所 大達 一賢

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【第6回】はじめての賃貸経営~敷金って意外とややこしい

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弁護士 エジソン法律事務所 大達 一賢

相続や不動産案件、離婚、交通事故等個人の方から企業法務も含め、幅広い案件を専門家としての知識と経験を生かして取り扱っています。依頼者目線で正当かつ最大限の利益を実現すべく、慎重かつ柔軟に考え、日々業務に取り組んでいます。

アパート経営もついに4年目を迎えたXさんですが、毎度のごとく、またもやトラブルが起きてしまう…!?

入居者の引っ越し

 アパート経営もついに4年目を迎えたXさん。大家さんとして、入居者や近所の方々とも良好な関係を結んでいて、順風満帆な生活を送っています。
 そんな中、103号室に住んでいた金融機関に勤務するFさんが転勤することとなり、Fさんとその家族が1ヶ月後に引っ越すことになってしまいました。
 Fさんとしては、引越し費用や、転居先に入居する際の敷金などの出費があることから、なるべく早く敷金を返して欲しいと思っています。
 
 Xさんのアパートの契約内容としては、
  ①家賃が月10万円、敷金が30万円、礼金はなし
  ②賃貸借契約が解約された場合には、敷金20万円が償却される

というものでした。
 
 しかし、Fさんとしては、借りていた部屋を特に汚損したこともなく、若干の使用感はあるものの、部屋はきれいな状態に保たれていることから、敷金のうち20万円が全額償却されるのはおかしいとして、Xさんに対して、原状回復費用を差し引いた上で残った敷金を、退去前の今すぐに返還するように求めてきました。
 一方のXさんとしては、契約上、敷金に関しては20万円を償却し返還するという条項があることや、契約時にも説明はなされていたこと、原状回復費用は少なく見積もっても10万円程度はかかることなどから、敷金返還には応じたくないと考えています。
 

敷金の償却って何のこと・・・?

 そこでXさんは、既に大達弁護士との付き合いも長くなり、最近ようやく、ようやく顧問契約をした大達弁護士に、Fさんとの交渉を依頼しました。もっと早くしとけば良かったのにね!
 
 まず、「敷金の償却条項」の有効性はどうなのでしょうか。
 
 そもそも敷金とは、「賃料その他の賃貸借契約上の様々な債務を担保する目的で、賃借人が貸借人に対して交付する停止条件付きの返済債務を伴う金銭」のことです。
 なんだか難しい定義ですが、要するに賃貸で住んでいる最中に、大家さんに対して弁済しなければならないもの一切をカバーするための保証金のようなもので、本来は未払い賃料や原状回復費用など、賃借人が負うべき債務を担保する目的で設定されるものです。
 
 そして、敷金の償却は、いわゆる敷引特約などと呼ばれ、その内容は、「賃貸借契約の終了時に修繕費の負担問題とは関係なく、貸主が預かった敷金から一定額を控除する旨の特約」を意味し、実際の修繕費用や原状回復費用が敷引きする金額を超えない場合であっても、敷引分の金額に関しては一切返還しないことになります。
 
 この敷引特約の有効性については、消費者にとって一方的に不利な契約条項の効力を否定し、消費者保護を図るための観点から議論されてきました。つまり、消費者契約法10条に言うところの「消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項」に該当し、賃借人の債務の範囲を超える部分については無効になってしまうのではないか、ということです。
 
 この点に関して、最高裁は、平成23年3月24日判決において、「消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付された敷引特約は、当該建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額、賃料の額、礼金等他の一時金の授受の有無及びその額等に照らし、敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものである場合には、当該賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り、信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものであって、消費者契約法10条により無効となる」と判断しました。
 具体的には、賃料の2倍弱~3.5倍強の敷引特約を有効であると判断しつつも、一定の場合には無効となる場合もあり得る、としています。
 
 それではXさんとFさんの事案においてはどうなのかと言えば、敷引きされるのは賃料の2倍である20万円であり、礼金も0円であることから、敷金の償却条項が無効と判断されるまでの可能性は低そうです。

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更新日:2017年12月18日 (公開日:2017年1月6日)

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