家賃収入に消費税はかかる?サラリーマン大家であっても、不動産所得には消費納税の義務が発生??消費税の最低限の知識~結果としての節税あれこれ~

職域年金受給1年前となり、やっと「少しはラクになるかな」と、一息吐いています。サラリーマン大家→個人事業主→会社設立と、書けば順調に見えるものの、「いつもカツカツ」で生きてきた気がします。これまでの経験を、節税面から振り返ってみようと思います。
源泉税の納付は、7月と1月に半年分をまとめて払うのですが(事前の届出が必要)、第07回に書いたように筆者の会社は常勤役員がいないので、毎月の報酬から預かる源泉税がありません。物件の売買で個人事業の司法書士さんからの預り金を、コロッと忘れて3カ月遅れで払ったこともあります(汗)。そんなですから、課税事業者になった翌々年(期)に納税義務がやって来る消費税が、全種別納税でダントツに滞納が多いというのも、「そうだろうなあ」と納得します。
<10>消費税のこと
不動産賃貸というと、一般人は居住用賃貸物件を取得・経営することをイメージします。
区分だ一棟だという規模の違いはあれ、あるいは専業かサラリーマン大家かという違いはあれ、各種セミナーなどに参会する方の殆どは、居住用賃貸をお持ちの方とお見受けします。
というより、テナント対象の商業施設などを賃貸する地主さん家主さんは、別の寄合組織を持っているらしい、とさえ思えるほどです。
(多分、実際そうなんだろうと思います。)
ところで、読者の皆さんは、「保険診療は非課税だけど、医療機関が購入する備品やら医薬品は消費税が掛かるから大変だろうなあ。」とお考えになったことがありますか?
私たち受益者は、どことなく「医療法人○○会」とかいった大きな財務基盤に支えられて、あるいは公的な補助も投入されて心配なく経営してんだろう、と思いがちです。
しかしこの「支払って貰う収入は非課税、でも出ていく出費は課税」という構図は、思いの外厳しいものです。8%に増税となった途端、赤字経営に転落した医療機関の話をどこかで読んだことがあります。
それと似た構図が居住用賃貸経営です。
家賃は居住用ですから消費増税分は転嫁できません(と言うより、もともと非課税です)。しかし、賃貸管理委託料、修繕費等の費用は容赦なく課税分が支出増となります。結果、手取り額は目減りします。
筆者は、個人事業で運営している物件の中に、一室だけ事務所貸しがあるのですが(消費税適用)、消費税が8%に上がったとき、当然のように3%分を上乗せできることに、ある種の感動さえ覚えました。
月々3000円程度の賃貸管理手数料の消費税が、150円から240円に上がっても、額の多寡で「90円くらいか」と思ってしまいますが、桁が上がって5万の家賃ならその差1500円。年間にしてみれば軽く2万円弱の差になります。
専業大家が、正規職の勤め人と同じ年収400万円程度を実現するため複数物件を持っているとすると、3%アップで12万円値上げできるのと、居住用だから上げられない(しかも支出は課税分増)のとでは、その負担感は3%の差どころの話ではありません。
貸駐車場(消費税課税対象)で年間400万円の収入がある人などザラにいますから、ある意味、居住用賃貸物件を経営するか貸駐車場を経営するかで命運を分ける、と言ったら大袈裟ですが、明暗はありますよね。
(もちろん、駐車場は更地扱いなので、家屋が建っている貸家建付地とでは、そもそも固定資産税の算定が違ってくるから、単純な比較は無意味、とも言えますが。)
そして、さらに課税事業者の境目である年収1000万円規模で考えると話はどうなるのか?
筆者の個人事業の大雑把な収支は第01回に図表でご紹介しましたが、収入の内預り消費税が乗っている分は100万もありません(預り消費税分は5万円程)。収入総額は1000万未満ですから課税事業者とはならず、納税の必要はありません。
「えっ? じゃあ事務所貸しで預かった消費税は懐に入っちゃうの?」
と、ガメる方にばかり人間は他人のことを気にしますが、筆者の場合、課税対象でない租税公課、修繕積立金、借入金返済利子などを除いた経費(課税仕入)で支払った消費税から事務所貸しの預り消費税を差し引くと、まだ15万円ほどあり、「税抜き本則」で経理処理していても、納税額がちょっと軽減されるという程度で、決してプラスが懐に入ることはありません。
ただ、筆者は面倒が一番の理由ですが、実際には税込処理で済ませています。
一方、法人の方は、課税年収部分800万円ほど。1000万を超えてくる部分は、居住用賃貸収入となっています。
従って、先々250万円規模の課税収入が発生しそうなら個人で取得、という方針も見えてきています。
実際、何らかの課税収入が250万増えたとします。すると、法人の年間課税収入は1050万となり、84万円の消費納税が発生します。簡易課税か本則かにもよりますし、事業税や消費税は経費にできるとはいえ、新たなキャッシュ・ポイントが課税扱いであるなら、個人事業の収入に算入して、課税事業者にならない方がよっぽど有利です。
つまり、この辺りに、小心者で規模も大きくない投資家の「遣り繰りの限界」が見えてきます。
・個人事業で課税年収1000万年未満、あとは非課税収入(居住用賃貸等)
・法人で課税年収1000万年未満、あとは非課税収入(居住用賃貸等)
合計2000万円+居住用賃貸物件、ただし物件を売却した時には、建物の売却額に預り消費税が発生するので、その分の余裕を見ておく。
もし、そうした事態が発生してもいいように、譲渡損を抱えている物件と抱き合わせで売却できるよう、所有物件の単体毎の現況(利回り、キャッシュ・フロー、ローン利用は残債、等)を常に把握しておく、また共担が付いている場合には、単独で譲渡・売却ができるよう日頃からなるべく単独担保にしておく。
こうしたオペレーション準備のためにも、前回(第09回)のようなコンサルへの相談は有用です。
さて、もう一段階面倒なのが、課税収入が1000万を超えると、その年については、遣り繰りが付いても、課税事業者として消費税納税の発生は翌々年(期)であること。
筆者の例で言うと、法人は上述のように課税収入800万円程(平年)なのですが、昨年度(2016)区分物件をひとつ売却し、合計の課税収入が1000万超え。ところが消費税納税の対象になるのは来期(2018.4~2019. 3の期)となり、何というか忘れた頃に納税義務がやって来るわけです。
平年に戻っていますから、800万の課税収入に対し、納税義務が発生します。本則で行くか簡易課税で行くかは、来年(2018)の3月までに決めればいいのでこれから税理士さんと相談ですが、みなし仕入率50%を使っても32万円(800×50%×8%)!
「2年先まで余裕があるから、毎月1万円程度貯めれば、2019年の3月頃には32万円くらい準備できるでしょ。払ってね。」
と言われたようなものです。
まあ、予定が立つと言えばその通りですが、その年(期)はひたすら大きな収入(つまり預り消費税も増える)が生じないように、じっとしているんでしょうね。(笑)
「良い物件が出た。でもちょっと手元資金が足りない。じゃあ効率の悪いのをひとつ売って、その売却で得た資金と合わせて新規物件を取得。でも、売ったことで課税事業者になり、そのツケは2年後に来る。」
まるで、相続発生後10カ月で何とか相続税の遣り繰りが付き、じゃあ親の家を継いだと言っても住むところは既にあるから売却処分しようと考えたら、今度は「待ってました」とばかりに譲渡税が追っかけて来る。誰も買ってくれないような物件だと、代わりに固定資産税が毎年確実にのしかかって来る……。といった構図を、毎年のように繰り返し突きつけてくるのが消費税の存在に見えます。
1000万円以上の課税売り上げがある普通のお店屋さんなどであれば、消費税は日常茶飯事毎年のように発生しているので、「そういうもの」と認識できます。
しかし、基本の収入が居住用賃貸経営で、たまの物件売却で突然課税収入1000万円超え、なんて場面はザラにあります。(例えば、2LDKとかのファミリータイプ区分物件を売却したら、建物部分だけで1000万以上なんてのはごく普通に有り得る話です。)
いざそうした段になって、勉強不足で慌てないよう、最低限の知識は得るようにしたいものです。
特に忘れやすいのは、たとえサラリーマン大家であっても、固定資産の売却が分離課税で扱われたとしても、課税収入が1000万円超えであれば課税事業者となり、翌々年の課税事業所得には消費納税の義務が発生するという点です。
建物部分1000万円超えの区分マンションを売却して、翌々年の収入が居住用賃貸収入だけだったら消費納税は発生しませんが、事務所貸しや駐車場賃貸収入などがあればその課税所得に納税義務が発生します。
サラリーマンと事業者・法人は、所得区分は違っても、消費税はそれらの立場に関係なく発生します。
以前から触れている通り、不動産「投資」と言いながらも、税法上の扱いはあくまでも「事業」所得なのです。
それ故、兼業禁止の件も、損益通算の概念も、消費税の納税義務も発生するわけで、「片手間」「放ったらかし」「管理会社に任せっきり」ではないことを肝に銘じたいものです。
公開日:2017年10月2日
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