家賃収入という有難さを感じる、「103万円の壁」「130万円の壁」という所得税制の話~結果としての節税あれこれ~|Hisashi

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家賃収入という有難さを感じる、「103万円の壁」「130万円の壁」という所得税制の話~結果としての節税あれこれ~

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大家 Hisashi

職域年金受給1年前となり、やっと「少しはラクになるかな」と、一息吐いています。サラリーマン大家→個人事業主→会社設立と、書けば順調に見えるものの、「いつもカツカツ」で生きてきた気がします。これまでの経験を、節税面から振り返ってみようと思います。

 タイトルの最後に「1」と付けましたが、この手の話題はいくらでも書けそうな気もします。が、だからといって「01」「02」…「11」と2ケタを目指そうなどという意気込みはありませんので、テキトーに思いつくまま「たまに」話題にしたいと思います。

<35> 何かと煩わしい境い目(ゾーン)の話1

 以前、

> 課税収入が250万増えたとします。すると法人の年間課税収入は1050
> 万となり、84万円の消費納税が発生

> 先々250万円規模の課税収入が発生しそうなら個人で取得、という方
> 針も見えてきています

というようなことを書きました。(第<10>回)
 消費税の話題として書いたのですが、これは何も経常的な収入拡大のみならず、物件を売却して建物部分が200万円を超えたら、簡単に課税収入が合計1000万超となる、ということでもあります。

 他にも、第<00>回には、

> 税率の境目で、やや逆転する部分はあるかも知れませんが、

といった書き方もしています。

 税のことを知り始めると、
・定額法か定率法か(減価償却)
・総合課税か分離課税か(所得税、特別措置法)
・課税収入1000万と5000万(消費税の簡易か本則か)
・細かいところでは先入先出法と移動平均法(簿記)
など、あれこれ選択が可能で、しかも納税者有利になるものと、税制で決められて融通が利かないものなど、知識や運用が複雑多岐になります。

 そんなこんなを、思いつく度に書きたいと思いますが、今回は土地税制や不動産とは直接関係ないものの、一般的には極めてポピュラーな、「103万円の壁」「130万円の壁」という例の所得税制の話。

 今後数年で所得税制は改正されていきますので(例えば第<25>回で触れたように、給与所得控除65万円は55万円に引き下げられるなど)、あまり細かく述べても仕方ない面がありますが、ザッとした知識は以下の記事を先ずお読みください。

 https://www.jprime.jp/articles/-/13696
 主婦のパート論争、年収で変わる「4つの壁」を理解すれば絶対に損はしない

  ----------------------------

 一応、お読みになっているという前提で以下の文章を続けますが、この手の記事に不足する視点が、

> ちょっとだけ壁を超えるような働き方はしないこと。1万円でもオー
> バーすれば、下記のように、一気に負担がかかってきます

とあるが、では所得税や社会保険料を差し引いて、なおかつ無税の段階の収入と同じ額を得るには、どれだけ余計に働かなければならないかが明確にされない。次に、

・所詮日本の所得税制は、未だに家族を単位としている(第3号被保険者の存在)

という問題です。
 前者は、女性の活躍といいながら、待機児童問題が一向に解消せず、フルタイムで働けない女性を生み出し続けている現況と直結します。後者は、社会に直接参加して経済活動を担っているフルタイム勤務女性からすれば「何もせずに専業主婦で権利だけを享受しやがって」と見える。
 もちろん、配偶者の年収が高いと扶養控除も無くなっていく仕組みになっていますが、一旦退職せざるを得なかった子持ち女性を独身時代のような戦力として受け容れる労働市場が、未だ日本には育っていません。

 実際に、極めてザックリですが、次の条件で専業主婦(夫)がパートに出て働くことを考えてみます。上記 URL に照らして、年収が100万、130万、150万、201.6万で計算してみます。
 収入が増えるに従って外される控除や発生する税・健保・年金などは読者の方でお調べください。

<パート勤務者>
・子ども無し
・40歳未満(介護保険負担無し)
<配偶者>
・年収500万円

・年収100万円の場合:税の発生や控除の不適用による減額は無し。
・年収130万円の場合:負担発生23万円。実際に増えるのは107万円程。
・年収150万円の場合:負担発生30万円。実際に増えるのは120万円程。
・年収201.6万円の場合:負担発生44万円。実際に増えるのは156万円程。

 住民税や健康保険料は自治体や地域差もありますし、配偶者の勤務先に配偶者手当があるかなど、正確には出せませんが、仮に時給1000円のパートに出て、1日5時間の勤務としましょう(子どもを保育園にあずけて、午後お迎えに行くまでの時間帯くらい)。すると、

・年収100万円:1000時間勤務、日数200。
・年収130万円:1300時間勤務、日数260。
・年収150万円:1500時間勤務、日数300。
・年収201.6万円:2016時間勤務、日数403.2。

 つまり、パート勤務者自身の自前年金が積み上がり、いくら先々老後がラクになると言われても、端から365日を越えるような勤務は無理ですし、150万円/300日も「日祝以外は土曜もお盆も正月も体調を崩さず働きに働いて」という計算。
 まあ、130万/260日なら土日祝を休んで子どもと過ごし、盆暮れの休みの分をたまに土曜に補う、くらいのところでしょうか。
 では、手取り7万円増えるだけの収入のために、60日も多くパートに出かけて行くでしょうか?

 逆に日給という発想で考えると、年収100万が勤務日数200日で得られるなら5000円/日。
 手取り120万円が300日勤務で得られるなら、4000円/日。差額の1000円は、65歳以上になったときに年金で還ってくるからねー、楽しみにして頑張るのよ。60歳になってから「足りない」と思っても、その時は身体の方が言うことを利かず、思う存分働けるものでもないから、今は「若いからこそ稼ぎ時」と考えてねー。
 そう言われて「はい、分かりました」となるでしょうか?

 筆者がこの手の記事を読んでいつも思うのは、税理士にしろ、社労士にしろ、FPにしろ、
 「老後の手取りを増やすためには、多少の税を払っても収入を増やす方が良い」
という理屈が唯一無二であるようなスタンスはいかがなものか、ということです。
 子どもの進学に掛かる費用、住宅ローン、等々、「今」お金が欲しい人が殆どだから、パート勤務に出るのではないのか?

 誰が好き好んで、20年後の年金が増えるのを楽しみに、7万円のために(しかも年間)60日も多く働くものかしら?  それだったら存分に子どもと関わり、50歳過ぎて自分の子どもが独立するようになった頃、どこかの臨時職員にでも就いた方がいいのではないかと思います。

 泣く泣くスキルアップやキャリアアップを捨てて、専業主婦にならざるを得ない人もいるでしょう。
 子どもの急な病変に振り回されることもあるでしょう。
 本来、結婚していようがいまいが、子育てに苦労しなくて済む社会制度が実現されなければならないと考えますが、所得税制は家族を単位とした制度から抜け出て、個人単位の制度にはなってくれていません。

・働き盛りと老後は連続しています。
・待機児童問題と統計上女性の年収の低さは表裏の関係です。
・労働市場の流動化と女性の活用は密接な関連があります。
・年齢により、雇用(収入)情況により、対応は変わります。
・それらに、悉く税制は絡んできます。

 自らの立ち位置を見極めて、冷静に採るべき道を選べば良いのですが、最後にこのサイトだからこそ書いておきたいのは、家賃収入という、勤労収所得外の途があることが、どれだけ家計にプラスに働くか、上述の数字を見比べて、改めてその有り難さを噛みしめたいものだ、ということです。

公開日:2019年3月12日

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