節税のための意図的な赤字ー減価償却とは別の視点の節税ー「赤字だからこそ優雅な生活ができる?」~結果としての節税あれこれ~|Hisashi

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節税のための意図的な赤字ー減価償却とは別の視点の節税ー「赤字だからこそ優雅な生活ができる?」~結果としての節税あれこれ~

節税のための意図的な赤字ー減価償却とは別の視点の節税ー「赤字だからこそ優雅な生活ができる?」~結果としての節税あれこれ~

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大家 Hisashi

職域年金受給1年前となり、やっと「少しはラクになるかな」と、一息吐いています。サラリーマン大家→個人事業主→会社設立と、書けば順調に見えるものの、「いつもカツカツ」で生きてきた気がします。これまでの経験を、節税面から振り返ってみようと思います。

 巷間、領収書は札束と同じ(経費の積み上げ)と喩えられたり、筆者も「節税に勝る効率的な投資は、そうそう他には見つからない」などと書きましたが(第<13回>)、勤め人が給与所得だけで暮らしていると、
 「納税額を少なくすることは、収入を得たのと同じ。」
という感覚はピンと来ないかも知れません。
 既に事業を営まれている方(個人・法人を問わず)には今更でしょうが、その辺りのことを書いてみたいと思います。

<36> 赤字解消という裏収入

 事業者にとって、収益を上げることは至上課題ですが、同時に節税策を講じなければ利益の最大化は望めません。
 利益調整という言葉を聞いたことがあるかも知れませんが、多くは減価償却費の活用が話題となります。が、今回はそうした常用・王道の減価償却とは別の視点から、開業費を取り上げたいと思います。

 創業費と開業費は似たような性格を持ちますが、社判を作ったり、登記のための司法書士費用など単発的に発生する初期費用を創業費、継続的に発生するものなど創業費以外で事業開始までに積み上がるものを開業費、と筆者は捉えています。

 なお、創業費・開業費を経費計上して、後から節税に生かす方法は、基本的に一回限りの使い勝手となります。

効果は法人に軍配
 話は、原理的には個人事業主も法人も同じなのですが、効果は法人の方に軍配が上がります。
 単純に、赤字の繰り越しが個人は3年まで、法人は9年まで、という話だけではありません。
 個人は、確定申告書の控除欄(⑩以下の基礎控除や年金・健康保険の控除の部分)まで(つまり⑨から上)がマイナスの時に損失申告となりますが、サラリーマン大家は本業の給与所得があるのでなかなか赤字にはなりません。
 専業の個人事業主は、ここが大幅な赤字になってしまうと、国民年金や国民健康保険料すらが払えなくなりますから、別途減免や猶予の手続きをせねばならなくなり、煩わしさが増えます。
 それに比べると法人は全く別人格として考えればよく、まあその法人から給与を貰っていたりすると、最終的には「個人と法人の比率は?」「結局両者のバランスは?」などという課題は生じますが、取り敢えずは別々で考え、カット・アンド・トライで「収まり具合」を模索しながら9年繰り越しを有効に使えばいいか、という理解でしょうか。

支出を伴わない赤字の創出
 創業費も開業費も、減価償却費と同じく「赤字の計上」ができることがポイントです。

 社判を作ったり登記の司法書士費用は、実際には支出を伴いますが、その開業した年度に経費化しなければならないわけではなく、後に儲けが出たときに相殺する(利益調整)カードとして使えます。

 開業費のミソは、いかに資産の転用を積み上げるかに係っています。例えば、個人用に使っていたパソコンを、開業にあたって事業用に使うとします。10万円のパソコンを1年使ったところで事業用に転用すると、減価償却4年ですから定額法だと75,000円のパソコンを買ったことになります。しかし現実には手元にあるわけですから、出費は伴いません。(割賦購入については触れません。)
 これについては、自家使用のものを事業用途に「転用」する際の計算方法というのが決められていますから、厳密にはお調べになって下さい。もちろん、定率法にすることも手続きさえ取れば可能です。
 既に自宅にあるもの、例えばひと部屋を事業用に使うとして、家具のワン・セットを取引先が来訪した際の応接用として「事業用資産」に計上、電話、書類棚、事務用机、等々を累積していけば、実際には新たに購入せずとも「支出したことにする」赤字は生み出せるのではないでしょうか。
 (なお、賃貸か持ち家か、持ち家でも住宅ローンの有無により、部屋代そのものの計算は微妙に異なります。第<02>回をご参照下さい。ここでは、建物という固定資産ではなく、中に整えられる備品類をイメージしています。)
 ただし、これらの計上資産はそれぞれ減価償却のカウントが始まります。パソコンのように年々陳腐化するものは「新陳代謝」という意味で償却してしまった方がいいと思いますが、ここで利いてくるのが以前も話題にした「個人は強制消却、法人は任意消却可能」という点です。
 事務所の応接セットなどは、廃棄寸前まで使い倒し、なおかつ儲けが出たときに「利益を減らすため」買換・廃棄するなど有効活用したいわけです。任意償却であればそれができます。
 が、今回は冒頭に述べたように開業費のことを書きたいので、これ以上は触れません。

 筆者の場合、現在住んでいる建物は法人名義ですが、賃貸用収益物件として設計からプランを起こし、事業計画も作成して融資を打診して建てましたから、事業開始(賃貸収入発生)までに係る費用は、純然たる経費です。
 融資の分割実行で発生する手形費用、工務店との遣り取りで発生する費用、建築中の法人の移転先に係る費用、等々を計上したわけですが、それらはすべて「開業までの必要経費」として開業費に入れます。
 細かいことを言うと、例えば「事務所を開くにあたって事務用品一式」などという文具類は、その年に消化してしまう性格のもので、この点「会計」の考え方と「税務」の考え方は微妙にズレるそうですが、その点には触れません。一括で開業費に計上してしまえばOKのようです。

 そうした考え・操作の下、初年度の赤字は120万円ほどになりました。そして、その赤字が6年ほど経った現在もまだ残っているわけです。
 つまり、「いつか儲けが出たときに相殺させるべき赤字」という存在です。

オペレーション発動
 で、放っておくと、この120万円の赤字が無駄になって捨てるだけになります。
 なので、これを少しでも収入に変えようじゃないか、というわけです。

 倒産防(経営セーフティ共済、第<11>・<17>回)に加入していることは以前にも書きましたが、小規模企業共済と同じで、掛金が全額その期の必要経費として控除できるという「お役目」の他に、もう一働きして貰おうというわけです。(なお、倒産防は個人事業者でも加入できますが、不動産業者は加入不可ですので要注意です。)

 40ヵ月経つと解約できる倒産防は、その解約して手元に帰ってくるお金はその年度の収入に計上しなければなりません。当然、課税収入の算定根拠に加わります。
 が、上述の120万円と相殺すれば、差し引きの課税収入は減らせます。具体的には、筆者の場合毎月5万円の掛金を積み立てていましたから、40ヵ月で200万円。
 もし税率20%とすれば、40万円(200万円×20%)の課税のところ、実際には、120万円の赤字と相殺されて80万円の収入を立てればよく、16万円(200-120=80、80万×20%=16万円)の納税で済むということになります。
 手元に、160万円残るか、184万円残るかは、大きな違いです。
 しかも、元々既に購入済みの個人使用の機材や家具を転用して計上した赤字で、実際の支出を伴っていません。
 また、40ヵ月の間、毎年の経費計上に節税面で「働いて」くれて、さらに「再びお役に立ってくれる」わけです。

 そうした効果が予め見えているわけですから、このオペレーション遂行のためには、筆者の場合さらに80万円の有用な経費を積み上げ、200万円が丸々手元に残るよう「遣り繰り」するという目標が立ちます。
 つまり、「要らん経費」を無理して使わずとも、大人しく収益を残すべく、無駄遣いをせず、慎ましく過ごせば、手元に残る収入は過去に計上した120万円と相殺されて、事業税は取られずに済むわけです。
 言い換えれば、「赤字と相殺できる程度には儲けを残す」必要があるということです。

 そして期が変わって、新たな事業年度になったら、その200万円を使ってやや大きな修繕などを施し、入居者さんに喜んで貰う一方、その費用は経費として計上、節税に生かす。
 といった展開が見込めます。じっと温存しておいた赤字が、転用による無出費経費もしくは一時(いっとき)の支出に伴う痛みも癒えた頃に、有用な資金として復活するわけです。云わば「外に迷惑を掛けない(あちこち駆けずり回らずに済む)資金調達」と言えます。

 なお、頭脳明晰な読者の方はお分かりでしょうが、40ヶ月ということは3年強。つまり創業費・開業費という「持ち駒」を使ってしまっても、
 「減価償却を3年積み上げ、マイナスを増やしながら、倒産防の掛金で節税(控除)を重ね、40ヶ月経ったら解約して収入計上、赤字と相殺。」
という手段は繰り返し使えます。
 この辺りが、中小企業経営者の「裕福さ」のカギのひとつで、自転車操業・火の車という赤字ではなく、節税のための意図的な赤字です。日本の会社は7割が赤字、という話を読者の皆さんも聞いたことがあると思いますが、実態は「赤字だからこそ優雅な生活ができる」とでもいったらいいでしょうか。
 
 これを誰も彼もがやり始めたら税収はちっとも増えないことになります。なので倒産防の加入を、個人事業者の不動産事業者は対象外にしているのかなあ、などと愚推しているのは筆者だけでしょうか。(笑)

公開日:2019年7月24日

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