相続における配偶者の居住権を守る民法改正案-夫死亡後の妻の相続事例!突然、家を追い出されることに…-不動産賃貸経営博士-

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相続における配偶者の居住権を守る民法改正案-夫死亡後の妻の相続事例!突然、家を追い出されることに…

【特集】不動産経営の今と未来を考える

相続における配偶者の居住権を守る民法改正案

『不動産経営博士』の情報誌 大家倶楽部 編集部では、相続における配偶者の居住権に関わる民法改正案について、参考の相続事例を元に今回の改正案の重要なポイントを法律のプロである弁護士に伺ってきました。

【相続事例】夫の死亡後に突然家を追い出されることに…

※現行の民法に基づく事例です

Aさんは、20年以上連れ添った夫をこの度亡くしました。葬儀が終わって間も無く、生前疎遠であった夫と前妻との間の2人の子(長男・長女)から、遺産分割の話がやってまいりました。2人がAさんに突きつけた条件は……


①自宅は売却して換価する
②長男がアパートの所有権を取得し、経営を引き継ぐ
③Aさんは、法定相続分の金銭を受領し、自宅から出ていく


Aさんは、長年住み慣れた思い出のある自宅に住み続けたかったのですが、夫にもAさんにも十分な預貯金がなく、アパートにはローン債務が残っていました。2人の子に対し金銭で清算することができないため、止むを得ず2人の要求を受け入れ、自宅を出ていかざるを得ませんでした。

このような事例の場合、現行法において、Aさんの居住権や自宅の所有権を確保するためには、夫から生前贈与を受ける、遺言書を作成してもらうなどの方法が挙げられます。

この事例を民法改正案に基づいて考えた場合

■ 民法改正案(相続分野)の主なポイント

今年1月、民法(相続法)の見直しを検討してきた法相の諮問機関「法制審議会」が改正要綱を答申しました。これは主に、被相続人の財産を親族で分け合う相続の制度を、高齢社会に合った内容にする法改正です。
この法改正が実現すれば、約40年ぶりとなる相続法制の大幅な見直しとなります。以下、その重要な点である【配偶者の移住の保護】【遺産分割】【遺言制度】【遺留分制度】【相続の効力】【相続人以外の貢献の考慮】について、ご説明させていただきます。

■ 配偶者の居住の保護

 

1. 配偶者居住権の新設

改正要綱では、「配偶者居住権」という新たな権利が新設されました。建物の権利が所有権と居住権に分割され、居住建物の所有権が他の相続人や第三者に渡っても、配偶者に居住権が認められれば、相続開始後も、一定期間、自宅に住み続けることができます。
また、この居住権は、所有権よりも権利内容が弱い分、評価額も低いため、配偶者は、居住建物の居住権のほかに、預貯金などの遺産を現行制度より多く相続できる見込みです。

 

2. 配偶者居住権の種類と成立要件

居住権には、遺産分割により居住建物の帰属が確定した日、あるいは相続等により居住建物の所有権を取得した者が配偶者に対し居住権の消滅を申し入れた日から6ヶ月間に限り建物に居住することができる「配偶者短期居住権」と、配偶者が生きている間、長期間の居住が認められる「配偶者居住権」が提案されています。

「配偶者短期居住権」は、配偶者が、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時(被相続人が死亡した時)に無償で居住していた場合において、当然に認められます。これに対し、長期の「配偶者居住権」は、配偶者が、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時(被相続人が死亡した時)に無償で居住していた場合において、

①遺産分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき
②配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき
③被相続人と配偶者との間に、配偶者に配偶者居住権を取得させる旨の死因贈与契約があるとき

のいずれかに該当する場合に認められます。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合は認められません。
上記①に関しては、共同相続人間で合意が成立すれば認められますが、合意が成立しなくても、配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるときは、長期の「配偶者居住権」が認められます。

 

3. 配偶者居住権の効力

「配偶者短期居住権」も、長期の「配偶者居住権」も、期間内、配偶者が無償で居住建物を使用することができますが、第三者に対し居住権を譲渡することはできません。
他方、長期の「配偶者居住権」の場合には、配偶者自身の使用にとどまらず、配偶者が適法に第三者に居住建物の使用又は収益をさせている時は、引き続き第三者に使用又は収益をさせることができます。また、居住建物の所有者の承諾を得て、居住建物の改築もしくは増築をし、第三者に居住建物の使用もしくは収益をさせることができます。さらに、配偶者は、居住建物の所有者に対し、登記請求権を有し、登記を具備したとき、居住建物について物件を取得した者等に対抗することができます。

 

4. 当該相続事例の場合

上記制度により、少なくとも、Aさんは、遺産分割により居住建物の帰属が確定した日等から6ヶ月間は自宅に無償で住み続けることができ、直ちに自宅から出て行く必要がなくなります。

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